なぜ地球は青く、火星は赤いのか? 探査機MAVENが解き明かした「磁場」の重要性

火星に行った探査車(ローバー)が地面を掘ると、決まってあるものが見つかります。 「水が流れた跡」です。

数十億年前、火星は地球と同じように、青い海と分厚い大気を持つ「生命の星」でした。 しかし現在の火星は、カラカラに乾いた赤い砂漠です。 海はどこへ消えたのか? 空気を持ち去ったのは誰なのか?

その犯人を見つけるために送り込まれたのが、NASAの大気探査機「MAVEN(メイブン)」です。 彼は宇宙から火星の大気を監視し、ついに衝撃的な「犯行現場」を押さえました。

火星探査衛星MAVEN
Image Credit: NASA/GSFC

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犯人は「太陽」

MAVENが見つけた真実。 それは、火星の空気が「宇宙空間へ猛烈な勢いで漏れ出している」光景でした。

犯人は、私たちの母なる星「太陽」でした。 太陽から吹き付ける電気の嵐「太陽風」が、火星の大気に衝突し、酸素や二酸化炭素を宇宙空間へと弾き飛ばしていたのです(スパッタリング現象)。

その量は、平均して毎秒数十〜100グラム以上。太陽嵐の際には、さらに激しくなります。

長い年月をかけて、太陽風は火星の分厚いコート(大気)を一枚ずつ剥ぎ取り、海を蒸発させ、ついには星を凍りつかせたのです。 火星が赤いのは、露出した鉄分が酸化したためです。その「錆びた地表」こそ、大気を失った証拠でもあります。


なぜ地球は無事なのか?

ここで一つの疑問が浮かびます。 「地球も同じ太陽風を浴びているのに、なぜ海がなくならないの?」

その答えは、地球が持っている「見えないバリア(磁場)」にあります。 地球の中心にはドロドロに溶けた鉄が流れ、溶けた鉄が対流し、自転と組み合わさって「ダイナモ」のように磁場を生み出しています。それが巨大な磁石となって、太陽風を弾き返しています。

しかし火星は、体が小さかったため、大昔に中心部が冷えて固まってしまい、磁石の力を失ってしまいました。 バリアを失った火星は、太陽風の猛攻をまともに食らい、大気を守りきれなかったのです。


「のぞみ」の夢を継ぐもの

実は、この「太陽風による大気流出」を世界で初めて詳しく調べるはずだったのが、日本の探査機「のぞみ」でした。 MAVENの打ち上げは2013年。「のぞみ」の挑戦から15年も後のことです。

MAVENの科学チームには、かつて「のぞみ」で悔し涙を飲んだ日本の研究者たちも参加しています。 「のぞみ」が到達できなかった場所にMAVENがたどり着き、彼が見るはずだった景色を代わりに見てくれた。 MAVENの成果は、日本の技術者にとっても、長年の問いに対する「答え合わせ」だったのです。


星の運命は「重さ」で決まる

火星が死の星になったのは、太陽風のせいでした。 しかし根本的な原因は、火星が「小さくて軽かったから(すぐに冷えて磁場を失ったから)」です。

もし火星がもう少し大きければ、今も青い海をたたえ、私たちが移住できる楽園だったかもしれません。 星の運命は、生まれたときの「体重」で決まってしまう。 MAVENが教えてくれたのは、そんな宇宙の残酷で厳格なルールでした。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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