みなさんは最近、夜空に浮かぶ月を見上げましたか? 私たちが普段何気なく眺めているあの美しいお月様に、再び人間が向かおうとしています。
2026年1月17日〜18日、NASAはアルテミス2ミッション用の超巨大ロケット SLSとオリオン宇宙船 を、ケネディ宇宙センターの **Launch Complex 39B(発射台)へとゆっくりと移動させました。これは、有人月周回飛行へ向けた 重要な準備段階のひとつ です。
「アルテミス計画」――。 名前だけは聞いたことがある、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

動き出した「現代の巨神」
今回ニュースになったのは、「SLS(スペース・ローンチ・システム)」という、NASAが総力を挙げて開発した超巨大ロケットです。
その高さは、なんと約98メートル。 30階建てのビルがまるごと一本、空へ飛んでいくようなものです。想像するだけで首が痛くなりそうですよね。

カメのような歩みで、確かな一歩を
この巨大なロケットは、組み立て工場から発射台(39B射点)まで、約6.8キロメートルの道のりを移動しました。
「移動」といっても、車のようにスイスイ走るわけではありません。 「クローラー・トランスポーター」と呼ばれる、これまた巨大な台車に乗せられて、カタツムリのような速さで進むのです。
その速度は、最高でも時速1.6キロメートルほど。 みなさんが散歩する速度よりもずっとゆっくりです。
でも、私はこの「遅さ」にこそ、ロマンを感じてしまいます。 数千トンの巨体が、重力という鎖を引きちぎるためのエネルギーを抱えて、しずしずと、しかし確実に舞台へと進んでいく。 それはまるで、長い眠りから覚めた巨神が、戦いの舞台に堂々と歩いて行くように感じます。
半世紀ぶりの「有人月旅行」へ
今回、発射台に向かったロケットが挑むミッションは「アルテミス2号(Artemis II)」と呼ばれています。
これがなぜそんなに騒がれているのか。 それは、「人間が乗っているから」です。
アポロ計画が終わってから約50年。 私たちは無人の探査機をたくさん月に送ってきましたが、人間はずっと、地球の近く(国際宇宙ステーションなど)に留まっていました。
アルテミス2は、月をぐるりと一周する軌道 を使い、地球に帰還するミッションです。月面に着陸するわけではありませんが、これまで人類が行ったことのない 深い周回ルートを飛行します。

月はゴールではなく、港になる
かつてのアポロ計画は、月に行くこと自体が「ゴール」でした。 でも、今回のアルテミス計画は少し違います。
月は単なる訪問地ではなく、将来の持続的な月面探査や部品の中継点、さらには火星など遠方への探査につながる場所 としても計画されています。今回のミッションはその 第一段階 といえるものです。
家に例えるなら、これまでは必死に走って隣町(月)まで行って、タッチして帰ってくる競争でした。 これからは、隣町に「別荘」を建てて、そこを拠点にもっと遠くの冒険に出かけよう、というわけです。
そう考えると、今回のロケット移動は、人類の引っ越しの第一歩目なのかもしれません。

まとめ
無事に発射台に到着したSLSロケットは、これから様々なテストを行い、打ち上げの時を待ちます。
今夜、もし雲が晴れていたら、窓を開けて月を探してみてください。
あの輝く月の向こう側を、もうすぐ人間が旅することになります。 そしてフロリダの空の下では今、巨大なロケットが、じっとその時を待っているはずです。
参考文献
- NASA|NASA’s Moonbound Artemis II Rocket Reaches Launch Pad
- NASA|Artemis II
- NASA|Artemis II Map
- NASA|NASA’s First Flight With Crew Important Step on Long-term Return to the Moon, Missions to Mars
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