超巨大ブラックホールを発見|すばる望遠鏡が見つけた「120億年前の急成長」

国立天文台から、ちょっとびっくりするようなニュースが届きました。 それは、「120億年前の宇宙に、ものすごいスピードでご飯を食べているブラックホールが見つかった」というお話です。

「ブラックホールがご飯を食べる?」 そう思ったあなた。ふふ、実は宇宙のモンスターたちは、意外と食いしん坊なんですよ。 今日は、すばる望遠鏡が捉えた、ある「大食いチャンピオン」の物語をご紹介します。

目次

120億年前の「育ち盛り」なモンスター

今回、日本のすばる望遠鏡の観測データを中心に、X線観測衛星のデータも組み合わせて解析した結果、地球からおよそ120億光年も彼方にある「クエーサー(ID830)」という天体です。

120億光年彼方ということは、私たちが見ているのは120億年前の姿。宇宙が生まれてからまだ20億年くらいしか経っていない、いわば「宇宙の黎明期」です。 そんな若かりし頃の宇宙に、すでに太陽の何億倍もの重さを持つ「超巨大ブラックホール」が存在していました。

天文学者たちは長い間、頭を悩ませていました。 「宇宙が始まって間もないのに、どうやってこんなに巨大なブラックホールに成長できたんだろう?」

生まれたばかりの赤ちゃんが、数年で力士のような大きさになっていたら驚きますよね。それと同じことが、宇宙の初期でも起きていたのです。 今回見つかったこのブラックホールは、その謎を解く鍵になるかもしれません。

超巨大ブラックホールの想像図
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

「食べるスピード」の限界を超えて

このブラックホール、何がすごいかというと、その「食べっぷり」なんです。

ブラックホールは、周りにあるガスや塵を重力で吸い込んで成長します。これを「降着(こうちゃく)」と呼びます。 でも、普通は「食べるスピード」に限界があるんです。 慌てて食べすぎると、口から溢れてしまったり、熱くなってガスが吹き飛んでしまったりして、それ以上飲み込めなくなる限界のライン(エディントン限界と言います)があります。

人間で言うなら、「わんこそば」でしょうか。 いくら早く食べたくても、口に運ぶスピードや飲み込むスピードには限界がありますよね。

ところが、今回見つかったこのブラックホールは、その限界を超えそうな勢いでガスを飲み込んでいる「スーパーエディントン状態」にある可能性が高いことがわかりました。 いわば、わんこそばの限界スピードを無視して、とてつもない勢いで成長している「食欲の塊」のような状態です。

暴れん坊の「産声」

面白ことに、このブラックホールはただ食べているだけではありません。 あまりに勢いよく食べているためか、強力な「ジェット」と呼ばれるガスを噴き出しています。さらに、X線や電波でもとても明るく輝いていることがわかりました。

「もっと食べさせろ!」と叫んでいるかのような、激しいエネルギーの解放。 この発見は、「宇宙の初期には、限界を超えて急成長する時期(フェーズ)があったからこそ、ブラックホールは短期間で巨大になれた」**という説を強力に裏付けるものです。

静かに見える夜空の向こうで、120億年前の赤ちゃんモンスターが、ものすごい勢いで食事をしている。 そう想像すると、なんだか宇宙が生命力に溢れた場所に思えてきませんか?

まとめ

今夜、もし雲が晴れていたら、星空を見上げてみてください。 肉眼では見えませんが、その暗闇のずっとずっと奥深くで、今もどこかの星やブラックホールが、何かを食べて、輝いて、成長しています。

私たちがここでミルクティーを飲んでいる穏やかな時間にも、宇宙は刻一刻と進化を続けているんですね。 そう思うと、手元のカップの温もりが、少しだけ愛おしく感じられるかもしれません。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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