望遠鏡で見ると、のっぺりとした青緑色の顔をしている天王星。 あまり目立った模様もなく、地味な印象を持たれがちですが、実は太陽系で一番の「変人(変わり者)」と言っても過言ではありません。
他の惑星がお行儀よくコマのように回っているのに対し、天王星だけは「横倒し」になって、ゴロゴロと転がるように太陽の周りを回っているのです。
今回は、なぜか横を向いて旅を続ける、不思議な惑星のお話です。
完全に「寝ている」自転軸

地球の自転軸が約23.4度傾いていることはご存知かと思いますが、天王星の傾きはなんと約98度です。 傾いているというより、完全に「真横」を向いています。
そのため、天王星はボールが地面を転がるような動きで公転しています。 なぜこんな姿になってしまったのか? 有力な説は、はるか昔、地球よりも大きな天体が天王星に「衝突」し、その衝撃でひっくり返ってしまったというものです。過去の大事故の名残が、今の横倒しの姿なんですね。
昼と夜が「42年」ずつ続く
この「横倒し」のせいで、天王星の季節は極端なことになっています。 軸が横を向いているため、夏の間は北極がずっと太陽の方を向きっぱなしになります。
つまり、42年間ずっと昼(太陽が沈まない)が続き、その後の冬は42年間ずっと夜(太陽が昇らない)が続くのです。 もし天王星に住んだら、「おやすみなさい」と言って次に起きるのは42年後……なんていう生活になるかもしれません。これだけ寝続けたら、身長も伸びそうですね。
氷の惑星の「青緑色」

天王星の美しい青緑色は、大気に含まれる「メタン」が赤い光を吸収し、青い光だけを散乱させているためです。 遠く離れた冷たい宇宙で、ゴロゴロと転がりながら、長い長い昼と夜を繰り返している。 そう思うと、あの無表情な青色が、少し神秘的に見えてきませんか?
まとめ
- 天王星の自転軸は98度も傾いており、横倒しで転がるように回っている。
- 原因は、過去に巨大な天体が衝突してひっくり返されたからだと考えられている。
- そのせいで、極地では昼と夜が42年ずつ続く極端な季節がある。
地味だと思っていた天王星、変わり者という印象になりましたか?
Image Credit: NASA

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