系外惑星の直接撮像とは?|100km先のホタルを見つけるような、究極の「かくれんぼ」

みなさんは、夜空に浮かぶ星を見上げながら「あの星の周りにも、地球みたいな惑星があるのかな?」と考えたことはありませんか?

実は、これまでに5000個以上の「系外惑星(太陽系の外にある惑星)」が見つかっています。でも、そのほとんどは、星の明るさが変化したり、星がわずかに揺れたりする様子から「そこに惑星がいるはずだ」と間接的に突き止められたもの。実際にその姿を「写真」としてパシャリと撮影できた例は、ほんのわずかしかありません。

「あんなに高性能な望遠鏡があるのに、直接見るのはそんなに難しいの?」

そう思われるかもしれませんね。この記事を読み終える頃には、夜空の星たちが、これまでとは少し違った「秘密を抱えた表情」に見えてくるはずです。

目次

見つかっているのに「見えない」?

現在、系外惑星を探す主流の方法は、惑星が星の前を横切る瞬間の影を捉える「トランジット法」や、惑星の重力で星がフラフラと揺れるのを捉える「ドップラー法」です。

これらは言わば「足跡から犯人を探す」ようなもの。姿は見えないけれど、そこに誰かがいる確証を得る方法です。でも、やっぱり私たちは「その姿を直接見てみたい」と思ってしまいますよね。しかし、それを実現しようとすると、想像を絶する壁が立ちはだかるのです。

なぜ「直接見る」のがそんなに難しいの?

系外惑星を直接カメラに収めるのが難しい理由は、大きく分けて2つあります。それは「明るさ」と「近さ」です。

圧倒的な「明るさ」の違い

一番の理由は、中心にある星(主星)と、その周りを回る惑星の「明るさの差」です。

太陽のような星と、その光を反射して光る惑星では、明るさが可視光で数億〜十億倍も違います。これを私たちの日常に例えるなら、「強力なサーチライトのすぐ真横で光っている、一匹の小さなホタルを探す」ようなものです。

サーチライトがまぶしすぎて、ホタルの淡い光は完全にかき消されてしまいます。星自体が自ら激しく燃えているのに対し、惑星はただその光を跳ね返しているだけ(あるいは、わずかな熱を出しているだけ)なので、圧倒的に不利な条件なのです。

距離が近すぎるという「もどかしさ」

もうひとつの理由は、星と惑星の距離が、私たちから見ると「近すぎる」ことです。

宇宙は広大ですが、星と惑星の距離は、地球から見ればほんの一点に重なって見えるほどわずかな隙間しかありません。

これを例えるなら、「100km先にある灯台のすぐ隣(数センチ!)で飛んでいる蚊」を、望遠鏡で見分けるような難しさです。東京から富士山の山頂にある、マッチの火の隣の粒を見分ける……そう考えると、どれだけ無茶な挑戦か分かりますよね。

闇に隠れた惑星を映し出す「魔法の道具」

そんな不可能とも思える挑戦に、天文学者たちは知恵を絞って挑んでいます。まぶしすぎる星の光をどうにかして「片付ける」ための、特別な魔法の道具をご紹介しましょう。

コロナグラフの図解
Image Credit: NASA Goddard’s Scientific Visualization Studio

星の光を指で隠す「コロナグラフ」

一番シンプルな、でも強力な解決策が「コロナグラフ」という装置です。 これは、望遠鏡の中で「中心にある星の光だけを物理的に隠してしまう」というもの。

みなさんも、まぶしい太陽の下で遠くのものを見ようとするとき、手で太陽を遮りますよね? あれと同じ原理です。星の光さえ遮ってしまえば、それまでまぶしさで見えなかった、かすかな惑星の光がひょっこりと姿を現すのです。

地球の空気のゆらぎを消す「補償光学」

地上にある望遠鏡で観測する場合、もうひとつの敵が「地球の大気」です。星がキラキラと瞬いて見えるのは、空気がゆらゆらと動いているから。でも、写真を撮りたい天文学者にとっては、この「またたき」が画像をボケさせる原因になります。

そこで使われるのが「補償光学(アダプティブ・オプティクス)」という技術です。 これは、空気のゆらぎに合わせて望遠鏡の鏡の形を1秒間に数百回〜数千回も細かく変形させ、「ゆらぎをリアルタイムで打ち消す」という、まさにハイテクな魔法。これによって、宇宙空間にいるかのようなクッキリとした画像が得られるようになりました。

「直接見る」ことで何がわかるの?

「影を見るだけじゃなくて、直接撮ることにどんな意味があるの?」

そう思われるかもしれませんが、実は「直接撮る」ことでしか得られない宝物のような情報がたくさんあります。

星の光を直接受けている惑星の光を分光分析すれば、その惑星にどんな「空気(大気)」があるのかが分かります。酸素はあるのか、水蒸気はあるのか、あるいは生命のサインとなる成分があるのか……。

さらに、時間の経過とともに何枚も写真を撮れば、その惑星がどんな風に星の周りを回っているのか、その「軌道」を目の当たりにすることができるのです。

まとめ:今夜、あの星の隣を隠して想像してみて

いかがでしたか? 「直接撮る」ということが、どれほど途方もない努力と技術に支えられているか、少しだけお伝えできたでしょうか。

今、私たちが目にしている系外惑星の写真は、まだ数ピクセル程度の小さな「点」に過ぎません。でもその一粒の光には、私たちがまだ知らない海の物語や、もしかしたら誰かが暮らしている街の明かりが含まれているかもしれないのです。

今夜、もし晴れていたら、窓の外を眺めてみてください。 そして、一番明るく輝く星を見つけたら、親指を立ててその星だけをそっと隠してみてください。

あなたの親指に隠されたそのすぐ隣で、まだ誰も見たことのない青い惑星が、静かに息づいているかもしれません。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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