夜空を見上げたとき、「どっちが北だろう?」と迷ったことはありませんか? スマホのコンパスアプリを開けば一瞬でわかる時代ですが、あえて画面を見ずに、星の並びだけで方角を知ることができたら、夜空を見るのが少しだけ楽しくなるはずです。
今回は、昔の旅人たちも頼りにした夜空の道しるべ、「北極星」の探し方をご紹介します。特別な道具は必要ありません。今夜、ベランダからでも試せる小さな観測です。

何が見えるか?ただ一つ、動かない星
北極星と聞くと、「夜空で一番明るい星」と想像する方が多いかもしれません。 しかし、実際の北極星は「2等星」という、夜空ではそこまで派手ではない明るさの星です。都会でも条件が良ければ肉眼で十分見つけられます。
では、なぜこれほどまでに有名なのでしょうか? それは、夜空の星々の中で「北極星だけが、時間が経ってもほとんど動かないから」です。他の星が東から昇って西へ沈む中、北極星だけはずっと同じ場所(真北の空)に留まり続けています。
なぜ北極星だけが動かないのか?

宇宙の中で、北極星だけが特別な動きをしているわけではありません。現象の理由は、私たちが住む地球の方にあります。
地球はコマのように1日1回ぐるぐると回っています(自転)。このコマの回転の軸(自転軸)を、北極側へずっとまっすぐ伸ばしていくと、偶然にもそこに北極星があるのです。
開いた傘をくるくる回したとき、中心の軸の先端だけは止まって見えますよね。それと全く同じ仕組みで、地球の回転軸の延長線上にある星だけが、私たちの目には止まって見えるというわけです。
今夜できる、北極星の探し方

控えめな明るさの北極星を、あてずっぽうで見つけるのは至難の業です。そこで、見つけやすい別の星座を「コンパス」として使います。
春から夏は「北斗七星」をコンパスにする
春の夜空を見上げる今の時期は、この方法が一番簡単です。
- 北の空を見上げて、ひしゃくの形をした「北斗七星」を探します。
- ひしゃくの水をすくう部分の先端にある2つの星を見つけます。
- その2つの星を結んだ線を、そのまま上に向かって「5倍」の長さだけ伸ばします。
その先にポツンと輝いている星が、北極星です。
秋から冬は「カシオペア座」を使う
北斗七星が地平線に隠れて見えにくい時期は、「カシオペア座」を使います。
- 北の空でアルファベットの「W」または「M」の形をした星の並びを探します。
- 両端の2つの星の並びをそれぞれ延長し、交わる点を見つけます。
- その交点と、「W」の真ん中の星を結びます。
- その線を、さらに「5倍」伸ばします。
やはりその先には、北極星が待っています。
観測するときの小さな注意点
星を探すときは、できるだけ暗い環境の方が有利です。しかし人間の目が暗闇の中で星の光を捉えるためには、約20分から30分ほどの「準備時間」が必要です。
この暗さに順応している最中にスマートフォンの明るい画面などを見てしまうと、目は一瞬で「今は明るい昼間だ」と勘違いし、せっかく準備した暗順応がリセットされてしまうのです。星図などを手元で確認する場合は、赤いライトを使うと目の暗順応を壊しにくくなります。
また、ご自宅のベランダなどで観測する際は、身を乗り出しすぎないよう、安全に十分配慮して楽しんでください。

次の挑戦:星の時間を体感しよう
無事に北極星を見つけることができたら、そこで終わりではありません。 1時間後、あるいは2時間後にもう一度同じ場所から夜空を見上げてみてください。
北斗七星やカシオペア座の位置が、北極星を中心に円を描くように移動していることに気づくはずです。ほとんど止まっている北極星と、動いていく周囲の星々。その変化を目の当たりにしたとき、あなたは「地球が回っていること」をリアルに体感しているのです。
今夜、晴れ間が見えたら、ぜひ北の空を見上げて夜空にコンパスを描いてみてください。自分で見つけ出した北極星の控えめな輝きは、きっとあなたにとって特別な道しるべになるはずです。
参考文献