望遠鏡はいりません。流星群を『迎え撃つ』ための、3つの作法と1つの赤い光

流星群の写真
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最高の道具は「あなたの目」

このページを見ているということは、「今度の流星群、見てみようかな」と思っているのではないでしょうか。

天体観測というと、高価な望遠鏡や双眼鏡が必要だと思っていませんか? 実は、流星群観測において、それらの道具は「邪魔」になります。 視野が狭くなってしまうからです。

流星群を楽しむための最高の道具は、「あなたの肉眼」。これだけで十分です。 今夜は、その「肉眼」の性能を最大限に引き出すための、ちょっとした「作法」をお話しします。

作法その一:場所選びは「引き算」で

星空

まず、どこで見るか。 特別な施設に行く必要はありません。大事なのは「視界の広さ」「暗さ」です。

  • 高い建物がない場所: 空は広ければ広いほどチャンスが増えます。グラウンドや河川敷など、視界が開けた場所がベストです。
  • 街灯から離れる: 星にとって、人工の光は天敵です。街灯が目に入らないよう、建物の影に隠れるか、どうしても避けられないときは帽子を目深に被って、光を視界からシャットアウトしてください。

作法その二:地面に寝転がる

寝転がって流星群を眺める

流星群観測の最大の敵は、寒さではありません。「首の痛み」です。 立ったまま真上を見上げ続けるのは、5分が限界でしょう。

ですから、恥ずかしがらずに「寝転がって」ください。 キャンプ用のマットやレジャーシートを敷いて、大の字になる。これが最強の観測スタイルです。 地球という巨大な宇宙船の甲板に寝そべって、窓の外を眺める気分でいきましょう。

作法その三:必須の持ち物(と、赤い光)

赤いライト

特別な道具はいらないと言いましたが、これだけは持って行ってほしい「三種の神器」があります。

  • 防寒着: 「やりすぎかな?」と思うくらいの厚着で丁度いいです。動かずにじっとしていると、体温はどんどん奪われます。カイロも忘れずに。
  • 寝転がるためのシート: 地面からの冷気は想像以上です。ダンボールを一枚敷くだけでも全然違いますよ。
  • 「赤い」ライト: これが重要です。足元を照らすライトですが、普通の白い懐中電灯やスマホのライトは使わないでください。 赤いセロハンを貼ったり、赤色LEDモードのあるライトを用意してください。

「え、なんで赤いの? お化け屋敷みたいで怖いんだけど」 ……ふふ、そう思いますよね。 実はこれ、人間の目の「暗順応(あんじゅんのう)」という機能に関わる、とても科学的な理由があるんです。

この「目の不思議」については、少し長くなるので他の記事でじっくり語らせてください。 とりあえず今は、「星見(ほしみ)の達人は、赤い光を使う」とだけ覚えておいてください。これを持っているだけで、玄人っぽくて格好いいですよ。

待つ時間を楽しむ

準備ができたら、あとは空を見上げて待つだけです。 すぐに流れなくても、焦らないで。 最低でも15分。目が暗闇に慣れるまで、ぼーっと夜風の音でも聞きながら待っていてください。

星を待つ時間は、現代人にとって一番贅沢な「何もしない時間」かもしれません。 それでは、良い観測を。 あなたの目に、一つでも多くの光が届きますように。


Image Credit: NASA / Unsplash

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とコーヒーが好き。飯もちゃんと好き。

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