系外惑星というとてつもなく遠い惑星は、どのように観測しているのでしょうか。恒星を横切る惑星は、恒星の明るさ変化によって観測しています。

でも、宇宙は広くて意地悪なものです。すべての惑星が、私たちのほうを向いて綺麗に横切ってくれるわけではありません。むしろ、そんな偶然はごくわずか。
「じゃあ、横切らない惑星はどうやって見つけるの?」
今夜は、そんな疑問にお答えする、もう一つの魔法をご紹介します。それは、星の「ふらつき」を捉える方法。専門用語では「視線速度法」と呼びます。
この記事を読むと、目には見えないほど遠くの惑星を、科学者たちがどうやって「重さ」まで当ててしまうのか、その不思議な仕組みがわかりますよ。
星もまた、惑星に振り回されている
星(恒星)は、太陽系でいえば太陽のような、どっしりと構えた主役です。対して惑星は、その周りをちょこまかと回る小さな存在。
私たちはつい「惑星が星の周りを一方的に回っている」と思いがちですが、実は物理のルール(万有引力)では、「お互いに引っ張り合って」います。
重力の綱引きと、星の「よろめき」
これをイメージしやすく例えるなら、「ハンマー投げ」の選手を思い出してみてください。
重い鉄球(惑星)を振り回すとき、選手(星)は中心でどっしり動かずにいるわけではありません。鉄球の重さに引かれて、選手の体も少しだけ「おっとっと」と、円を描くように小さく揺れ動いてしまいますよね。
あるいは、小さなお子さんの両手を繋いで、くるくると回して遊んであげるとき。お子さんが外側にいくほど、大人であるあなたも少しのけぞって、足元が小さく円を描くはずです。
この、惑星に引っ張られて星が小さく円を描く「ふらつき」。これこそが、惑星が存在する動かぬ証拠になるのです。
「ドップラー効果」という魔法の耳
でも、いくら星がふらついていると言っても、それはほんのわずかな動きです。何光年も先にある星が、秒速わずか数メートルにも満たないような動きをしたところで、望遠鏡で直接「あ、今よろめいた!」と見ることはできません。
そこで登場するのが、「ドップラー効果」という現象です。

音の高さが変わるように、星の色も変わる
「ドップラー効果」と聞くと難しそうですが、日常でよく体験している「あの音」のことです。
救急車がこちらに近づいてくるとき、サイレンの音は「ピーポーピーポー」と高く聞こえますよね。でも、目の前を通り過ぎて遠ざかっていくと、「ぴーぽー……」と低い音に変わります。
これは、音の波が「縮まったり、伸びたり」することで起きる現象です。
実は、「光」もこれと全く同じ性質を持っています。
- 星が、惑星に引かれて私たちの方へ近づくとき → 光の波がギュッと縮まって、少しだけ「青っぽく」なります。
- 星が、惑星に引かれて私たちから遠ざかるとき → 光の波がビヨーンと伸びて、少しだけ「赤っぽく」なります。
私たちはこの、星が放つ光の「ごくわずかな色の変化」を、精密な機械(分光器)を使って読み取ります。まるで星が奏でるメロディの「音程の変化」を聞き分けるようにして、惑星の存在を探り当てるのです。
「視線速度法」でわかる、惑星の意外な素顔
この方法がすごいのは、単に「惑星があるかないか」を知るだけではないところです。
惑星の「体重」がわかる
星をより大きくふらつかせるのは、どんな惑星でしょうか? そうです。より重たい、力持ちの惑星です。
星のふらつき具合(色の変化の幅)を見れば、その惑星がどれくらいの「体重(質量)」を持っているかが計算できてしまいます。この方法で、木星のような巨大なガス惑星が、自分たちの太陽にそっくりな星の周りを猛スピードで回っている「ホット・ジュピター」という不思議な天体もたくさん見つかりました。この手法では、実際の質量より小さめに見積もられる可能性がありますが、惑星の性質を知るには十分な方法です。
まとめ:今夜、あの光の揺らぎに思いを馳せて
いかがでしたか?
「視線速度法」という言葉だけを聞くと、少し硬い印象を受けるかもしれません。
でも、「遠くの星が、惑星に手を引かれて、足元をふらつかせている」……そんな風に想像してみると、夜空の光がもっと身近なものに感じられませんか?
参考文献
コメント