水星から海王星、そして太陽まで。 広大な太陽系の旅をしてきましたが、一つだけ、とても大事な星を紹介し忘れていました。
今、あなたの足の下にある星。地球です。
「地球のことなんて、毎日見ているから知ってるよ」と思われるかもしれません。 ですが、宇宙の過酷な環境を知った後で改めてこの星を見ると、地球こそが太陽系の中で最も「異常」で、ありえない確率でできた星だということに気づかされます。
今回は、私たちが当たり前のように乗っているこの「地球」のスペックについて、客観的に解説します。
太陽系で唯一の「水の惑星」
地球の最大の特徴は、言うまでもなく表面の約7割を覆う「海」です。 「水があるなんて普通でしょ?」と思うかもしれませんが、宇宙では「液体」の状態で水が存在すること自体が、とてつもない奇跡なのです。
水星や金星では熱すぎて蒸発し、火星や木星以遠では寒すぎて氷になってしまう。 地球は、水が凍らず、かつ沸騰もしない、絶妙な距離(ハビタブルゾーン)に位置しています。
この奇跡的なバランスのおかげで、私たちの体を作り、天候を安定させる「海」が存在できるのです。 宇宙から見た地球が「青い宝石(ブルー・マーブル)」のように輝いているのは、この奇跡の証なんですね。
見えないバリア「磁気圏」

地球には、もう一つすごい機能が備わっています。 それは、宇宙からの有害な放射線や、太陽から吹き付ける電気の風(太陽風)を弾き返す、鉄壁のバリアです。
地球の中心には、ドロドロに溶けた鉄が流れており、それが巨大な磁石の役割を果たしています。これによって地球全体が「磁気圏」という見えないシールドで守られているのです。
もしこのバリアがなかったら? 火星のように大気は太陽風で吹き飛ばされ、地表には有害な放射線が降り注ぎ、生命が住める環境ではなくなっていたでしょう。 私たちは今も、巨大な磁石のバリアに守られながら生活しているのです。
大きすぎる相棒「月」の存在

地球には「月」という衛星がありますが、実はこれほど「本体に対して巨大な衛星」を持っている惑星は、他にはありません。 (木星や土星の衛星は、本体に比べれば豆粒のようなサイズです)
この不釣り合いなほど大きな月がそばにいてくれるおかげで、地球には大きなメリットがあります。 月の重力がちょうどいい「おもり」となり、地球の自転軸の傾きを安定させてくれているのです。
もし月がいなかったら、地球の首(自転軸)はグラグラと不安定になり、灼熱と極寒がデタラメに訪れる、住みにくい星になっていたかもしれません。 月はただ夜道を照らしているだけでなく、地球の環境を整えてくれる最高のパートナーなのです。
私たちは「宇宙船地球号」のクルー
普段生活していると忘れてしまいがちですが、私たちは地面に止まっているわけではありません。 地球は、時速約10万キロ(音速の約80倍)という猛スピードで太陽の周りを飛んでいます。
私たちは、この「地球号」という巨大な宇宙船に乗って、何もない真空の宇宙空間を旅している最中です。 空気があり、水があり、適度な気温に保たれた、生命維持装置付きの豪華客船。 今のところ、乗り移れる代わりの船は見つかっていません。
まとめ
- 地球は、水が「液体」でいられる絶妙な位置(ハビタブルゾーン)にある奇跡の星。
- 中心核が生み出す「磁気バリア」が、大気と生命を守っている。
- 「月」という大きな相棒のおかげで、自転が安定し、穏やかな四季がある。
遠くの星に思いを馳せるのも素敵ですが、たまには足元を見て、「よくできた星に乗っているなぁ」と感心してみるのもいいかもしれません。 代わりが見つからないこの地球を大事にしていきましょうね。
Image Credit: NASA

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