まるで音のない飛行機。夜空を滑る「人類の家」ISSを見つけてみませんか?

みなさんは夜空を見上げているとき、不思議な動きをする「光」を見たことはありませんか? 飛行機のようにスーッと動いているけれど、あのチカチカという点滅信号がない。 流れ星にしてはゆっくりすぎて、消えることなく空の端から端へと渡っていく。

「もしかして、UFO?」 なんてドキッとしてしまうその光の正体、実は宇宙人が乗る円盤ではありません。

あれは、私たちと同じ人間が住んでいる場所。 地上400kmの宇宙空間に浮かぶ、巨大な実験室「国際宇宙ステーション(ISS)」なのです。

今日は、私たちの頭上で輝く「人類の家」について、少しだけ想いを馳せてみましょう。

ISS外観
Image Credit: NASA

まずは、あの不思議な光の正体から見ていきましょう。

目次

星空を横切る、まばたかない光の正体。

夜空に明るい星のような光が現れ、音もなく静かに移動していく。 初めてISSを見たとき、そのあまりの「静寂」と、それとは裏腹な「存在感」に、私は鳥肌が立ったのを覚えています。

地球を90分で一周する、猛スピードの実験室

ISSは、サッカー場くらいの大きさがある巨大な有人施設です。 地上から見るとゆっくり動いているように見えますが、実はとてつもないスピードで地球の周りを回っています。

その速さは、なんと秒速約7.7km。時速に直すと約27,700kmです。 これは、ピストルの弾丸よりもはるかに速いスピード。 私たちが「あ、ISSだ」と指差して眺めている間に、彼らはものすごい勢いで世界の空を駆け抜けているのです。

ISSの中にいる宇宙飛行士たちは、地球を約90分で一周してしまいます。 つまり、彼らの窓の外では、1日の間に「日の出」と「日の入り」が16回も繰り返されているということ。 朝起きて、コーヒーを飲んで、実験をして……と過ごしている間に、何度も夜が明けては暮れていくなんて、なんだか不思議な感覚ですよね。

400km上空って、どれくらい?

ISSが飛んでいるのは、地上約400kmの高さです。 「400km」と言われても、ちょっと想像しづらいかもしれませんね。

地上の距離で例えるなら、だいたい「東京から大阪まで」の距離と同じくらいです。 新幹線なら2時間半かかる距離。 その距離を、横ではなく「真上」に向けた先に、ポツンと浮かんでいるのがISSです。

そう考えると、意外と「近い」と感じませんか? 空のずっと高いところにあるけれど、決して手の届かない「異世界」ではないのです。


宇宙にある「日本の部屋」。きぼうを見上げよう。

JAXAの実験室きぼう
Image Credit: NASA

ISSは「国際」宇宙ステーションという名前の通り、アメリカ、ロシア、カナダ、欧州、そして日本など、世界中の国々が協力して作り上げたものです。 実はこのISSの中に、日本が担当した特別な部屋があるのをご存知ですか?

世界で一番大きな実験棟「きぼう」

その部屋の名前は、「きぼう」。 なんとも素敵な名前ですよね。

「きぼう」は、ISSにあるたくさんの実験棟の中でも、世界最大の広さを誇ります。 バス一台がまるごと入ってしまうくらいの大きさがあり、その中では、重力のない環境を利用して、新薬の開発や材料の研究など、さまざまな実験が行われています。

私たちが夜空に見つけるあの光の一部は、日本の技術者たちが魂を込めて作り上げた「部屋」であり、そこには日本の「希望」が詰まっているのです。

そこに「人」がいるという奇跡

私がISSを見るたびに一番感動するのは、 「あの中に、今まさに生きている人間がいるんだ」 という事実です。

私たちが地上で仕事に疲れてため息をついたり、こうして温かいミルクティーを飲んでホッとしたりしている同じ瞬間に。 あの光の中では、数人の宇宙飛行士たちが、無重力の中で食事をし、眠り、そして窓からこの青い地球を見下ろしている。

真っ暗な宇宙の海に浮かぶ、小さな灯台。 そこには確かに誰かの「生活」があり、心臓が鼓動している。 そう想像するだけで、冷たい夜空が少しだけ温かく感じられるような気がします。


明日、ISSを見るために。特別な道具はいりません。

「宇宙ステーションなんて、特別な望遠鏡がないと見えないんでしょう?」 そう思っている方もいるかもしれません。

でも、安心してください。 ISSを見るために、高価な望遠鏡や双眼鏡は一切必要ありません。 むしろ、家に置いてきてください。必要なのは、あなたの「目」だけです。

飛行機との違いは「光り方」

ISSはとても明るいので(条件が良いときは1等星以上に輝きます)、街明かりのある都会でも十分に見つけることができます。 見分けるポイントは、その「光り方」です。

  • 飛行機:赤や緑のライトがチカチカと点滅しています。
  • ISS:点滅せず、一定の明るさでスーッと滑らかに動きます。

まるで夜空にチョークで直線を引くように、迷いのない光が動いていたら、それがISSである可能性が高いです。

「いつ、どこ」を知るための魔法のツール

ISSはいつでも見られるわけではありません。 太陽の光を反射して輝いているため、「地上は暗いけれど、上空のISSには日が当たっている」という、日の出前や日没後の限られた時間にだけ見ることができます。

「じゃあ、いつ空を見上げればいいの?」 そんなときは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が公開している予報サイト「#きぼうを見よう」を使ってみてください。 あなたの住んでいる場所を選ぶだけで、「何日の何時何分に、どの方角から見え始めるか」を教えてくれます。

予報の時間になったら、少し早めに外に出て、夜空に目を慣らしておきましょう。 きっと、時間通りに現れるその正確さに驚くはずです。


まとめ

地球、金星、火星……夜空にはたくさんの星が輝いていますが、その中に一つだけ、人間が作り、人間が住んでいる「星」があります。

それが、国際宇宙ステーション、ISS。

もし今夜、あるいは明日の夜、空にスーッと動く光を見つけたら、心の中で手を振ってみてください。 400km彼方にあるその窓辺からも、もしかしたら誰かが、あなたの住む街の明かりを見つめているかもしれません。

同じ空の下、同じ時代に生きている仲間が、宇宙の海を旅している。 そう思うと、なんだか夜風も心地よく感じられそうですね。

それでは、今夜も素敵な星空を。

参考文献

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次