今日は、宇宙で一番有名で、一番怖い天体「ブラックホール」のお話をしましょう。
名前のせいで、多くの人が「宇宙空間にぽっかり空いた『穴』」だと思っています。 マンホールの穴みたいに、そこに落ちたらどこか別の場所に繋がっている……そんなイメージですよね。
でも実は、あれは穴ではありません。 とんでもなくぎゅうぎゅうに詰まった「超・高密度の天体(星)」なんです。

※実際のブラックホールは、特別な「吸い込む力」を持っているわけではありません。
質量が非常に大きいため、近くでは重力の影響が強く見えるだけです。
地球が角砂糖になる世界

どのくらい詰まっているかというと、例えばこの地球。 地球をブラックホールにするには、地球の大きさ(直径1.3万km)を、ギュギュッと押しつぶして「ビー玉(直径約2cm)」くらいのサイズにする必要があります。
地球の重さをそのままに、ビー玉サイズまで圧縮する。 スプーン一杯で何億トンという重さになる。それがブラックホールの中身です。 穴というよりは、「重すぎて床が抜けそうなほど重い玉」と言ったほうが近いかもしれません。
食べるのは「スパゲッティ」のみ

ブラックホールに近づくと、恐ろしいことが起きます。 これを天文学の正式な用語で「スパゲッティ化現象(Spaghettification)」と呼びます。嘘みたいですが、本当の名前です。
重力が強すぎるため、足元と頭にかかる重力の差だけで、体がありえないほど引き伸ばされてしまうのです。 どんな名優も、どんな屈強な宇宙飛行士も、ブラックホールの前では細長いパスタにされて、ズルズルと吸い込まれてしまいます。 なんともお行儀の悪い食べ方ですよね。フォークでうまく巻いてくれればいいのですが。
出られない「境界線」
ブラックホールには「ここから先は帰れません」というラインがあります。 これを「事象の地平線(イベント・ホライゾン)」と呼びます。
このラインを越えると、光の速さでも脱出できません。 つまり、私たちが外から見ても、そこから光が返ってこない=「真っ黒」に見えるわけです。
見えないけれど、そこにいる
真っ黒で見えないはずのブラックホールですが、最近は「影」の写真が撮られたりして、その姿が少しずつわかってきました。 ブラックホール自身は光を出しませんが、周囲にあるガスや塵が高温になって光るため、その明るい光と暗い影を画像として捉えることができます。
宇宙のどこかで、今日もズルズルと星を食べている大食い客。 遭遇したくはありませんが、遠くから眺める分には、最高のミステリーですね。
参考文献
- NASA|Black Hole Anatomy
- LIVE SCIENCE|Black holes: Facts, news, features and articles about the darkest objects in the universe
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