冥王星が準惑星になった今、太陽系の「最果ての惑星」となったのが海王星です。 地球からは肉眼で見ることのできない、遠く暗い世界。
しかし、その姿は息を呑むほど美しい「深い群青色(ディープブルー)」をしており、ローマ神話の海の神「ネプチューン」の名にふさわしい神秘的な輝きを放っています。
実はこの海王星、発見のされ方が他の惑星とは全く違う、とてもドラマチックな星なのです。
机上で見つかった「数学の惑星」
1846年に発見されるまで、海王星の存在は誰も知りませんでした。 しかし、天文学者たちは「何かおかしい」と気づいていました。一つ内側にある天王星の動きが、計算よりもわずかにズレていたからです。
「天王星の外側に、もう一つ別の惑星があって、その重力で引っ張っているに違いない」
フランスの数学者ルヴェリエは、その見えない惑星の位置を「数学(計算)」だけで導き出しました。 そして天文台に手紙を送り、「この座標を見てくれ」と依頼。観測者がその場所へ望遠鏡を向けると……なんと、予測からわずか1度しかズレていない場所に、本当に新しい惑星があったのです。
海王星は、夜空を探し回って見つけたのではなく、机の上で計算によって発見された、まさに「科学の勝利」とも言える惑星なのです。
音速を超える「スーパー台風」

静かな青い見た目とは裏腹に、海王星の大気は太陽系で最も荒れ狂っています。 そこでは、時速2000キロメートルにも達する暴風が吹き荒れています。
地球の猛烈な台風でも時速200キロ程度、音速ですら時速1200キロほどですから、海王星の風は「超音速」です。 なぜ太陽から一番遠く、エネルギーが少ないはずの極寒の地で、これほど激しい風が吹いているのか? それは今も天文学の大きな謎の一つです。
まとめ
- 海王星は、天王星の動きのズレから計算によって位置が予測され、発見された。
- 「ペン先で発見された惑星」とも呼ばれる。
- 美しい青色の世界だが、音速を超える時速2000キロの暴風が吹き荒れている。
太陽系のなかで一番遠い惑星、観測ではなく計算で見つかった稀有な星はいかがでしょうか。
Image Credit: NASA

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