かんむり座T星の爆発とは?|80年に一度の大規模アウトバーストを読み解く

みなさんは「かんむり座T星」という名前を聞いたことがありますか? なんだか記号のような無機質な名前ですが、今、世界中の天文学者が「今か今か」と夜空を見上げている、もっとも注目されている星なんです。

実はこの星、とんでもなく「大食い」な星として知られています。

今日は、そんな食いしん坊な星が引き起こす、一生に一度あるかないかの「奇跡」についてお話ししましょう。

かんむり座の図解
Image Credit: NASA
目次

仲良しで、少し危険なふたつの星

夜空のずっと遠くに、ダンスをするように回っている不思議なペアの星があります。

ひとつは、年老いて大きく膨らんだ「赤色巨星(せきしょくきょせい)」。 もうひとつは、小さくてギュッと縮まった「白色矮星(はくしょくわいせい)」。

白色矮星は、太陽のような星が寿命を終えてぎゅっと小さくなった高密度の星。赤色巨星は寿命後期に膨らんで赤く見える大きな星です。

この小さい方の「白色矮星」が、実は大変な大食漢なのです。 重力がとても強いため、隣にいる大きな星からガスを勝手に吸い取ってしまいます。

隣の星のエネルギーをストローで吸うように奪い、自分の中にどんどん溜め込んでいくのです。

食べ過ぎた星の「ゲップ」

でも、どんなに大食いな星でも、胃袋には限界があります。 何十年もかけてガスを食べ続け、お腹がパンパンになると……どうなると思いますか?

「もう無理、食べられない!」

限界を迎えたその瞬間、星の表面で大爆発が起きます。 溜め込みすぎたガスを一気に宇宙空間へ吹き飛ばしてしまうのです。

これは再発新星と呼ばれる現象で、表面での熱核反応による大きな明るさの増加です。白色矮星の表面にあるガス層の爆発であり、あくまで「食べすぎた分を吐き出した」だけ。 人間でいうなら、お腹いっぱいになって大きな「ゲップ」をしたようなものです。つまり、星が死ぬ爆発(超新星爆発)ではないんです

そうしてスッキリすると、星はまた元の姿に戻り、懲りずにまた隣からガスを吸い始めます。なんとものんきで、たくましい一生ですよね。

80年に一度のショータイム

ガスをお腹いっぱいまで溜めて、爆発(ゲップ)して、また溜める。 このサイクルにかかる時間が、だいたい80年と言われています。これまでの記録では、1787年、1866年、1946年に観測されています。

前回の爆発は、戦後すぐの1946年でした。 そう、計算上ではちょうど今が、その80年目。いつお腹がいっぱいになってもおかしくない時期なのです。次の明るさのピークは2024年から2027年と予想されています。

明日かもしれないし、半年後かもしれない。 80年分のエネルギーを一気に解放するその瞬間、普段は肉眼で見えない暗い星が、突然北極星と同じくらいの明るさで輝き出します。

かんむり座T星の見つけ方

かんむり座は北天の小さな星座で、北半球の春〜夏に見える半円形、Cの形の星の並びが特徴的です。この星座はこと座のベガやうしかい座アークトゥルスを目印にすると見つけやすいです。

一番明るい星はアルフェッカというもので、これを星座の中の目印にするのがよいです。アルフェッカから南東へ6度離れた位置にあります。ただし、T星本体は普段とても暗いので、双眼鏡や星図アプリがあると探しやすいです。

まとめ

もし、夜空を見上げて「あれ? Cの近くに知らない明るい星がある」と気づいたら。 それは、宇宙の彼方で食いしん坊な星が「ごちそうさま!」と言った合図かもしれません。

80年に一度の、宇宙規模のゲップ。 そう思うと、なんだか夜空が少し愉快に感じられませんか?

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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