みなさん、終活という言葉を聞いたことはありますか?人生設計の最後としてどう生きていくか、間際になる前に計画をして楽しんでいくということみたいです。わたしも考えなければ、なんて思っています。短い人生、最後まで楽しく輝いていたいですからね。
今日ご紹介する星も、長い長い時間を生き抜いて、最後の輝きを放っている星。 「赤色巨星(Red Giant)」のお話です。
夜空に赤く輝くその姿は、星が一生の最後に到達する、壮大なる「フィナーレ」の姿なのです。
なぜ赤色巨星は赤くて巨大なのか?
「赤色巨星」とは、その名の通り「赤くて、とてつもなく巨大な星」のことです。 しかし、彼らは生まれた時から大きかったわけではありません。
実は彼らの正体は、以前ご紹介した「黄色矮星(太陽のような星)」が年老いた姿なのです。

星は、燃料である中心の水素を使い果たすと、バランスが崩れて体の外側が風船のように大きく膨らみ始めます。 膨張することで表面の熱が分散され、温度が下がるため、「赤く」見えるようになるのです。 (※炎も、高温だと青白く、温度が下がると赤くなりますよね。あれと同じ原理です)
太陽はいつ赤色巨星になるのか
これは、決して遠い世界の話ではありません。 私たちを照らしている太陽も、あと約50億年後にはこの「赤色巨星」へと進化します。

その時、太陽はどれくらい大きくなるのでしょうか? なんと、現在の大きさの100倍以上に膨れ上がると予測されています。
水星と金星は飲み込まれてしまい、地球もどうなるかはわかりません。想像するだけで恐ろしいですが、それは星が一生懸命に生きた証とも言える、最後の変身なのです。
おうし座の「アルデバラン」

今の夜空で見られる代表的な赤色巨星といえば、冬のダイヤモンドの一角、おうし座の「アルデバラン」です。 オレンジ色に輝くその瞳は、まさに「老練の巨星」といった風格があります。
彼は太陽よりも少し先輩で、すでに膨張を始めている星。 「未来の太陽に近い進化段階の姿」を先取りして見せてくれている、参考モデルと言えるでしょう。
赤色巨星の最期:惑星状星雲へ
大きく膨らんだ赤色巨星は、そのガスを重力で繋ぎ止めておくことができなくなり、少しずつ宇宙空間へガスを手放していきます。
そして最後には、中心に燃え尽きた芯(白色矮星)を残し、放出したガスが美しく輝く「惑星状星雲」となって一生を終えます。 このガスの中には、星が一生をかけて作った炭素や酸素が含まれており、それがまた次の新しい星や、もしかしたら未来の生命の材料になるのです。
若く青い星の鋭い輝きも素敵ですが、長い時を経て、大きく優しく膨らんだ赤い星の光には、包み込むような温かさを感じます。
「老いる」ことは、小さくなることではなく、むしろ大きく広がって、自分の一部を宇宙へ還していく作業なのかもしれません。 今夜は、そんな星の「偉大なる終活」に乾杯しましょう。
Image Credit:NASA
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