ふと夜空を見上げたとき、飛行機のように点滅することなく、スーッと滑らかに星空を横切っていく明るい光を見たことはありませんか?
それは「国際宇宙ステーション(ISS)」かもしれません。
宇宙飛行士たちが滞在し、現在進行形で科学実験が行われている宇宙の巨大な実験施設。実は、特別な望遠鏡がなくても、コツさえ知っていれば誰でも肉眼で見つけることができます。
この記事では、今夜の空でISSを見つけるための簡単なステップをご紹介します。

[画像提案:夕暮れまたは夜空を背景に、一直線に伸びる光の軌跡(ISSの通過)を捉えたタイムラプス写真]
ISSはどんなふうに見える?
ISSは、地球の地上約400kmの上空を飛んでいます。
地上から見ると、「一番星(金星や木星)のように明るい光の点が、数分かけてゆっくりと空を横切っていく」ように見えます。
一番の特徴は「点滅しない」ことです。 赤や緑にチカチカと光っている場合は飛行機ですが、ISSはずっと同じ明るさで、静かに、そして力強く夜空を滑っていきます。その静かで確かな動きを見ると、「あそこに人が乗っているんだ」と不思議な感動を覚えるはずです。
難易度は「極めて易しい(機材不要)」です。条件さえ合えば、街灯の多い都会のベランダからでも簡単に見つけることができます。

なぜISSは光って見えるのか?
ISS自体が電球のように光を放っているわけではありません。では、なぜあんなに明るく輝くのでしょうか?
その理由は、「太陽の光を反射しているから」です。
ISSはサッカー場ほどの巨大な施設で、そこには太陽電池パドルと呼ばれる巨大なパネルがついています。これが鏡のように太陽の光を反射します。
しかし、いつでも見えるわけではありません。 地上はすでに夜になって暗いけれど、はるか上空400kmを飛んでいるISSにはまだ太陽の光が当たっているという、絶妙なタイミングがあります。
そのため、ISSがよく見えるのは「日の入り直後の数時間」か、「日の出前の数時間」に限られます。私たちが暗闇の中から、夕日に照らされた宇宙の実験室を見上げている、という構造なのです。
ISSの見つけ方|ベランダからできる3つのステップ
見つけるための手順は、驚くほどシンプルです。
1. いつ・どこを通るか調べる
ISSは秒速約8km(たった90分で地球を1周するスピード)で飛んでいるため、スケジュールは分単位で決まっています。 JAXA(宇宙航空研究開発機構)が提供しているウェブサイト「#きぼうを見よう」にアクセスし、自分の住んでいる地域を選択してください。 「何時何分に、どの方角から現れ、どの方角へ消えていくか」が正確にわかります。
2. 5分前に観測場所へ行く
時間になったら、ベランダや庭、見晴らしの良い公園などに出ましょう。 ISSが見える時間は、1回の通過につき約3〜6分間だけです。現れる方角(西や南など、日によって異なります)の空が開けている場所が最適です。
3. 指定の方角を眺めて待つ
時間ぴったりになると、指定された方角の空の低いところに、スッと明るい点が現れます。あとはその光が空を横切っていくのをゆっくり目で追うだけです。
ISS観測のコツと注意点
観測する際は、以下の小さなポイントに注意してください。
- 天気を確認する:曇っていたり、雨が降っていたりすると、残念ながら厚い雲に遮られて見えません。晴れた夜を狙いましょう。
- 歩きスマホ・歩き観測はNG:上を見上げながら歩くと転倒の危険があります。必ず安全な場所で立ち止まって観測してください。
- 飛行機と間違えない:点滅していたら飛行機です。ISSは「点滅しない光」です。
ISSが消える理由(次の楽しみ)
もしISSを見つけることに成功したら、次は「消え方」に注目してみてください。
地平線の彼方へ沈んでいく前に、空の真ん中あたりでフッと光が消えて見えなくなることがあります。
これはISSが消滅したわけではありません。「地球の影(夜の領域)に入ったため、太陽の光を反射できなくなった瞬間」です。この現象を目撃すると、「地球が丸くて、宇宙には影がある」というスケール感を、自分の目で確かめることができます。
今夜、あるいは数日以内の晴れた夜。 ほんの5分だけベランダに出て、いま人類が暮らしている「動く星」を探してみませんか。
参考文献
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