雪線とは?|地球が岩で、木星がガスである理由

夜空を見上げると、さまざまな星が輝いています。なかでも惑星たちは、太陽の光を反射して私たちの目を楽しませてくれます。

赤く輝く火星や、夜空でひときわ明るく堂々としている木星。これらは同じ太陽系に属する「兄弟」のような星ですが、その中身はまったく違います。地球や火星は、私たちが歩けるようなゴツゴツとした「岩」の地面を持つ星です。一方、木星や土星は、地面がなく分厚い雲に覆われた巨大な「ガス」の塊です。

同じ太陽の周りを回って生まれたはずなのに、なぜ太陽に近い星は「岩」で、遠い星は「ガス」になったのでしょうか。その答えは、太陽系が生まれたときに引かれた、見えない境界線にありました。

目次

雪線(スノーライン)とは?|惑星の材料を分けた境界線

Image Credit: NASA

太陽系誕生時の「原始太陽系円盤」とは

太陽系が生まれたばかりのころ、中心にはできたての熱い太陽があり、その周りにはガスやチリが混ざった巨大な渦巻きがありました。これを「原始太陽系円盤」と呼びます。星たちは、この渦巻きの中のチリやガスが集まって作られました。

中心にある太陽に近い場所は、太陽の熱でフライパンのように熱せられています。そのため、水分はすべて蒸発してしまい、そこには熱に強い岩や金属のチリしか残ることができません。

雪線の内側と外側で何が違ったのか

しかし、太陽からある程度離れると、温度がぐっと下がります。そして、ある距離を越えると、宇宙空間を漂う水分がカチカチの氷の粒に変わります。

この「水が凍って氷の粒になる境界線」のことを、天文学では「雪線(スノーライン)」と呼びます。 当時の太陽系では、おおよそ火星と木星の軌道の間あたりに位置していたと考えられています。

日常の風景で考える「星の材料」

これは、冬の寒い日にストーブを点けた部屋を想像するとわかりやすいかもしれません。

ストーブのすぐ近くに氷を置いても、あっという間に溶けて水蒸気になってしまいますね。ストーブの近くに形をとどめていられるのは、熱に強い金属の燃えかすや、石ころのようなものだけです。 しかし、ストーブから遠く離れた冷たい窓際ではどうでしょうか。水蒸気が冷やされて結露し、時には凍って霜になります。

宇宙でも、これとまったく同じことが起きていました。

なぜ木星はガスで、地球は岩なのか

太陽系
Image Credit: NASA

熱い太陽の近く、つまり「雪線の内側」では氷は存在できませんでした。熱に強い岩や金属のチリだけが少しずつぶつかり合って集まり、地球や火星ができあがりました。材料が岩や金属だけだったため、それほど巨大な星にはなれませんでした。

一方、「雪線の外側」はどうだったでしょうか。 雪線の外側では、宇宙空間に大量の「氷の粒」が存在できました。実は、宇宙では水素や酸素といった元素が豊富なため、水は氷として大量に存在することができます。そのため、雪線の外側では、大量の氷と岩がくっつき合い、地球の何倍も重い「巨大な固体コア」ができあがりました。

その巨大な固体コアは、とても強い重力を持つようになります。そして、周囲の渦巻きの中に漂っていた大量のガスをごっそりと引き寄せ、自分の体にまといました。こうして生まれたのが、木星や土星といった巨大な「ガス惑星」なのです。

今夜、夜空を見る視点が一段上がる

地球が岩と海を持つ星になり、木星が巨大なガスの星になったのは、決して偶然ではありません。太陽系が生まれたときに引かれた「雪線」という温度の境界線が、それぞれの星の材料を決め、運命を決定づけたのです。

もし今夜、夜空で明るく輝く木星を見つけることがあったら、ただの光る点ではなく、「雪線の外側という、冷たくて氷が豊富な場所で生まれたからこそ、あんなに巨大になったのだ」と思い出してみてください。

見慣れた星の輝きが、太陽系の壮大な仕組みを証明する光として見えてくるはずです。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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