今日のお話は、 宇宙で最も激しく、最も壮大な「終わりの瞬間」。 「超新星爆発(Supernova)」のお話です。

「新しい星」という名の「最期」
まず、名前のお話からしましょう。 「超・新星」と書くと、なんだか「ものすごく新しい星が生まれた!」みたいに見えますよね。 でも実は真逆で、これは「星の死ぬ瞬間」のことなんです。
昔の人々が夜空を見上げた時、今まで何もなかった真っ暗な場所に、突然明るい星が現れたのを見て「あ!新しい星ができた!」と勘違いして名付けたのが由来です。 実際には、前回ご紹介した老いた巨星「赤色超巨星」が、その一生の最後に起こす大爆発の光を見ていたのです。
超新星爆発はなぜ起きるのか?
あんなに大きな星が、なぜ木っ端微塵に吹き飛んでしまうのでしょうか。 その原因は、星の中心で作られた「鉄(てつ)」にあります。
星は一生懸命、自分の重力(潰れようとする力)と、燃焼エネルギー(膨らもうとする力)でバランスを取って生きています。 しかし、中心に燃えない「鉄」が溜まってしまうと、膨らもうとする力が消え、自分の凄まじい重さに耐えきれなくなります。
- 崩壊: 星全体が中心に向かって、一気にガラガラと崩れ落ちます(重力崩壊)。
- 反動: 中心にギュウギュウに圧縮された芯(のちの中性子星)ができ、落ちてきたガスがその芯にぶつかって、猛烈な勢いで跳ね返ります。
- 爆発: その衝撃波で、星ごと吹き飛ばします。
これが、超新星爆発のメカニズムです。
超新星爆発の明るさは銀河並み?
この爆発のエネルギーは桁外れです。 たった1つの星が爆発するだけで、ピーク時には数千億個の星が集まる「銀河全体」と同じくらい明るく輝きます。
過去には、1054年に起きた超新星爆発の記録が日本や中国に残っています(藤原定家の日記『明月記』など)。 その時は、なんと「昼間でも空に星が見えた」そうです。 もし今、オリオン座のベテルギウスが爆発したら、満月くらいの明るさになり、私たちの夜空に「2つの月」が浮かぶことになるでしょう。
私たちは「星屑」からできている
恐ろしい爆発の話をしてきましたが、実はこの爆発がなければ、私たちはここに存在していません。
私たちの体を流れる血(鉄分)や、骨を作るカルシウム。 これらはすべて、星の中で作られ、この超新星爆発によって宇宙にバラ撒かれたものです。 もし星が静かに死んでいたら、これらの材料は星の中に閉じ込められたままで、地球も、生命も生まれませんでした。
星がその身を犠牲にして、宇宙という畑に「命の種」を撒いてくれた。 だから、私たちはみんな「星屑(スターダスト)の子ども」なのです。
「破壊」は「創造」の始まり。 超新星爆発を知ると、そんな言葉が浮かびます。
夜空で輝く星たちは、ただそこにいるだけではありません。 遠い過去に散っていった星たちの命を受け継いで、今、私たちがここでコーヒーを飲んでいる。 そう思うと、自分という存在が少しだけ宇宙と繋がっているような気がしませんか?
参考文献
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