夜空に見える星は、いつか必ず「終わり」を迎えます。
その終わりがどんな姿になるかは、星の重さで決まります。太陽くらいの重さの星は白色矮星になる。では、太陽の8倍以上もある大質量星が超新星爆発を起こした後に残るものは、何でしょうか。
それが「中性子星」です。

中性子星とは?|超新星爆発の後に生まれる星
中性子星とは、大質量星が超新星爆発を起こした後、中心部に残る天体です。
超新星爆発では、星全体が外側へ吹き飛ぶ一方で、中心の芯の部分はその反動で逆に猛烈に圧縮されます。この圧縮がとてつもなく強力なため、原子の構造そのものが壊れます。
原子は、中心の「陽子・中性子」と、その周囲を回る「電子」でできています。この電子と陽子が押し合わされて合体し、ほとんどが中性子で構成された状態——それが中性子星の正体です。

中性子星の密度はどれくらい?|直径20kmに太陽の質量
中性子星の最大の特徴は、その密度です。
大きさは直径約20km。東京でいえば、山手線の内側にすっぽり収まるほどのサイズです。しかし、その質量は太陽とほぼ同じか、それ以上あります。
この密度を実感する方法があります。中性子星の物質をティースプーン1杯分だけすくい取ったとすると、その重さは約5億〜10億トン。エベレスト山に匹敵します。
これほどの密度になれる理由は、中性子同士が隙間なく詰め込まれているためです。白色矮星の場合、電子が「これ以上は近づけない」と突っ張ることで圧縮が止まります。中性子星では、さらにその先、今度は中性子が同じように突っ張ることで、かろうじてブラックホールにならずに止まっています。

ブラックホールとの違い
中性子星よりさらに重い星の残骸は、重力に耐えきれずブラックホールになります。中性子星は、中性子同士が押し返す力によって崩壊を食い止めている状態であり、ブラックホールへ至る一歩手前の極限天体ともいえます。

パルサーとは?|中性子星が宇宙の灯台と呼ばれる理由
中性子星は高速で自転しています。
フィギュアスケートの選手が腕を縮めると回転が速くなるのと同じ原理で、巨大だった星が小さく凝縮されたことで、角運動量が保たれたまま自転が加速したのです。その速さは、1秒間に数回から数百回。
また、中性子星は強力な磁場を持ち、その磁極から電波のビームを放出しています。自転しているため、このビームが地球の方向を向いたときだけ電波が届き、一定のリズムで「点滅」するように観測されます。この性質から「パルサー」とも呼ばれます。
1967年に初めて観測されたとき、あまりにも規則正しいリズムから宇宙人からの信号ではないかと一時本気で疑われたほど、その正確さは際立っていました。
中性子星の衝突(キロノバ)が金を作る
中性子星は単独で存在するだけでなく、2つの中性子星が互いの周りを公転し、最終的に衝突することがあります。この衝突によって発生する爆発的な増光現象を「キロノバ」と呼びます。
2017年、重力波望遠鏡LIGOと光学望遠鏡が連携し、このキロノバを史上初めてリアルタイムで観測しました。この観測によって、金やプラチナなどの重い元素がこの衝突で大量に生成されることが確かめられています。

中性子星まとめ
中性子星について整理するとこうなります。
- 太陽の8倍以上ある大質量星が超新星爆発を起こした後、中心に残る天体
- 原子が壊れ、中性子だけで構成された状態まで圧縮されている
- 直径約20kmに太陽ほどの質量が詰まった、宇宙でも屈指の高密度天体
- 高速自転と強磁場によって電波ビームを放つ「パルサー」としての顔を持つ
- 中性子星どうしの衝突(キロノバ)が、金などの重元素を宇宙に供給している
白色矮星が「静かな星の最期」だとすれば、中性子星は「極限の圧縮」の産物です。どちらも同じ「星の燃えかす」でありながら、親星の重さの違いだけで、これほど異なる姿になります。
夜空に超新星爆発の痕跡として残る星雲を見るとき、その中心に直径20kmの小さな天体が今も高速で回転し続けているかもしれない、と想像してみてください。

参考文献