わたしは冬でも冷たいコーヒーを飲むときがあります。今もそうです。暖房が聞いた部屋にいると、氷のはいった冷たい飲み物が欲しくなります。
さて今日ご紹介する星は、熱い時代を終えてゆっくりと冷えていく星。 そして、私たちの太陽が最後にたどり着く姿でもある、「白色矮星(White Dwarf)」のお話です。

祭りのあとの「燃えかす」
前回、星の終活である赤色巨星についてお話ししました。 大きく膨らんだ星が、その外側のガスを宇宙空間へ手放したあと、中心に「芯」のようなものがポツンと残ります。
それが、白色矮星です。 もう燃料(水素)は残っておらず、新しいエネルギーを作ることはありません。 現役時代に蓄えた「余熱」だけで、白く静かに輝いているのです。 例えるなら、激しく燃え上がった焚き火のあとに残る、白くて熱い「おき火」のような存在です。
小さじ1杯で「1トン」!?
この星の最大の特徴は、とてつもなく「身が詰まっている(高密度)」ことです。
大きさは地球と同じくらい(直径約1万キロ)しかありません。 しかし、重さはなんと太陽に匹敵するほどあります。。 あの巨大な太陽を、無理やり地球サイズにまでギュウギュウに圧縮した状態です。
その密度は凄まじく、白色矮星のかけらを「ティースプーン1杯」すくっただけで、その重さは約1トン(車1台分)にもなると言われています。 状況によっては数トンに達することもあります。星の一生分の質量が、そこに凝縮されているのです。
これほど重いのに、なぜ白色矮星はブラックホールにならないのでしょうか。それは「電子縮退圧」という量子の力が、重力に抵抗して星を支えているからです。
宇宙に浮かぶ巨大なダイヤモンド
実は、白色矮星の中には、冷えて固まることで「結晶化」しているものがあると考えられています。 その主成分は炭素。 炭素が高圧で結晶化したもの……そう、「ダイヤモンド」です。
実際に、地球から約50光年離れた場所に「ルーシー」という愛称で呼ばれる星(BPM 37093)がありますが、これは星の芯の一部〜大部分がダイヤモンド化した、直径4000キロの巨大な宝石だと考えられています。 (ビートルズの曲『Lucy in the Sky with Diamonds』にちなんで名付けられました)
私たちの太陽も、遥か未来には、宇宙空間に浮かぶ一つの大きなダイヤモンドになるのかもしれません。そう思うと、少しロマンチックですよね。
永遠の静寂へ
自ら燃えることをやめた白色矮星は、何十億年、何百億年という気の遠くなるような時間をかけて、ゆっくりと冷えていきます。 そして最後には、光も熱も出さない「黒色矮星(こくしょくわいせい)」という冷たい石の塊になって、宇宙の闇に溶けていくと予測されています。
しかし、宇宙はまだ生まれてから138億年しか経っていません。 白色矮星が完全に冷え切って「黒色矮星」になるにはもっと長い時間が必要なため、今の宇宙にはまだ黒色矮星は一つも存在しないと言われています。
すべての白色矮星は今もまだ、かつての輝きの余韻の中で、静かに光り続けているのです。
激しく燃えるだけが「生」ではない。 すべてを出し尽くし、純粋な結晶となって静かに佇む姿もまた、一つの完成された美しさなのだと感じます。
いつか私たちも燃え尽きたとき、心の中に硬くて綺麗な「何か」を残せるでしょうか。 グラスの氷が溶けるのを眺めながら、そんなことを考えた夜でした。
参考文献
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