夜空を見上げると、ひときわ明るく輝く星を見つけることがあります。その代表が、木星や土星です。
望遠鏡を覗けば、木星の美しい縞模様や、土星の立派な環を見ることができます。しかし、もし私たちが宇宙船に乗ってこれらの星に「着陸」しようとしたら、不思議な事態に直面します。
なぜなら、これらの星には「地面」が存在しないからです。 地球や火星のように、宇宙船がゴツゴツとした岩の上に降り立つことはできません。このような星を「ガス惑星」と呼びます。


ガス惑星とは?|大部分がガスでできた巨大な星
私たちが住む地球や、お隣の火星は、岩や金属でできた硬い地面を持っています。一方で、木星や土星はまったく異なる構造をしています。ガス惑星とは、水素やヘリウムなどのガスを主成分とする巨大な惑星です。太陽系では木星と土星がこのタイプに分類されます。
大きさを比べると、木星は地球の約11倍(直径)もあります。しかし、その中身の大部分は「水素」と「ヘリウム」でできています。
地球のような岩の塊ではなく、途方もない量のガスが集まってできているのが、ガス惑星の正体です。
「地面がない」とはどういう状態か
では、地面がない星に飛び込むと、一体どうなるのでしょうか。
宇宙船で木星の表面(一番外側の雲)から突入したと想像してみてください。 最初は、地球の分厚い雲の中を落ちていくのと同じ感覚です。しかし、いつまで経っても地面には衝突しません。周囲はどんどん暗くなり、圧力(周りから押される力)と温度がすさまじい勢いで上がっていきます。
気が遠くなるほど深く沈んでいくと、ガスはあまりの圧力に押しつぶされて、液体の海のように変化します。さらに中心部まで行くと、今度はドロドロの金属のような状態になっています。
つまり、「地面がない」というのは、「中身が空っぽ」という意味ではなく、「境界線のないガスのグラデーションが奥深くへと続いている」という意味なのです。
なぜガスなのに宇宙に散らばらないのか
ここで一つの疑問が浮かびます。地球の空気は「岩の塊」である地球の周りにまとわりついていますが、岩の芯がほとんどないガス惑星は、なぜガスが宇宙空間に散らばらずに、きれいな丸い形を保っているのでしょうか。
その答えは、「重力」にあります。
ガス惑星の主成分は、「水素」と「ヘリウム」です。
この軽いガスが、地球の何十倍、何百倍という途方もない量で集まっています。あまりにも大量のガスが集まると、そのガス全体の重さによって、すさまじく強い重力が生まれます。
それは例えるなら、巨大な綿あめを、見えない両手(重力)が四方八方から中心に向かってギュッと握りしめ続けているような状態です。
外側にフワフワと逃げようとするガスの性質を、内側に引き込む強い重力が完全に押さえ込んでいるため、ガスだけでも立派な丸い星として形を保つことができるのです。
今夜、光の向こうの「深い世界」を想像する
「ガスでできた巨大な球体」と聞くと、なんだか掴みどころのないフワフワしたものを想像するかもしれません。しかし実際のガス惑星は、強烈な重力によってガスが限界まで押しつぶされた、とても激しくて重たい世界です。
次に夜空で木星や土星の明るい光を見つけたら、少しだけ想像してみてください。 あの穏やかな光の奥には、私たちが降り立つことのできない、果てしなく深いガスの世界が広がっていることを。
「地面がない」という仕組みを知るだけで、あの光り輝く点から受ける印象は、きっと一段深いものに変わるはずです。


参考文献
コメント