天文単位(au)とは?|地球と太陽の距離を「1」とする宇宙の基準

夜空を見上げると、星々はまるで天井に張り付いた小さな光の点のように見えます。しかし、その光は想像を絶するほど遠い場所から私たちのもとへ届いています。

たとえば、私たちの命を支えている太陽。地球から太陽までの距離は、キロメートルで表すと「約1億5000万km」になります。1のあとにゼロがたくさん並ぶ、途方もない数字です。

あえて書いてみると、約150000000 kmです。

これが太陽系の外側にある惑星になると、さらに大変なことになります。海王星までの距離は「約45億km」。もし宇宙全体をキロメートルだけで測ろうとすると、ゼロを書くだけでノートが真っ黒になってしまうでしょう。

キロ、というのは10の3乗という意味なので、メガメートルやギガメートルというと定義しても良いかもしれませんが、天文学では違う基準を置いて、距離を表しました。

天文単位(au)とは、「地球と太陽の距離」を1とした、宇宙専用の距離の単位です。

夜空を見上げると、星々はまるで天井に張り付いた光の点のように見えます。しかしその光は、想像を絶する距離を旅して届いています。

目次

天文単位(au)とは何か

そこで天文学者たちは、宇宙の広さを測るための「もっと長い定規」を作りました。それが「天文単位」と呼ばれる距離の測り方です。記号では「au(astronomical unitの略)」と書きます。

天文単位のルールは、とてもシンプルです。 地球から太陽までの平均距離(約1億5000万km)を「1」とする。 たったこれだけです。

私たちが住んでいる地球と、その親である太陽。この2つの星を結ぶ距離を「基準の1メモリ」にして、宇宙の大きさを測り直してみよう、というアイデアです。

距離より先に「比率」がわかった理由

ここが、宇宙探検の面白いところです。実は人類は、「太陽まで何kmあるか」を正確に知るよりもずっと前から、惑星たちの「並び順」や「距離の比率」を知っていました。

17世紀、天文学者ケプラーは惑星の動きを観察し、「木星は地球よりも約5倍遠い軌道を回っている」といった法則を見つけ出しました。しかし、当時の技術では、その基準となる「1(地球から太陽までの距離)」が、具体的に何kmなのかは誰も測ることができなかったのです。

つまり、当時の天文学者たちにとって、宇宙は「具体的な長さは不明だけど、形(比率)だけは完璧にわかっている地図」のようなものでした。

そのため、キロメートルや、その上の「ギガメートル」といった単位が生まれるよりずっと前から、宇宙を測るための唯一の、そして最も信頼できる定規は「地球と太陽の距離を1とする」という考え方だったのです。

天文単位で見る太陽系の大きさ

それでは、この「1au」という宇宙の定規を使って、太陽系の惑星たちの位置を測ってみましょう。

  • 地球太陽から1 au(これが基準です)
  • 火星太陽から約 1.5 au(地球より少しだけ外側を回っています)
  • 木星太陽から約 5 au(地球よりも5倍遠い軌道を回っています)
  • 海王星太陽から約 30 au(一番外側の惑星は、地球の30倍も遠くにあります)

どうでしょうか。 「木星は7億5000万km先にある」と言われるよりも、「地球より5倍遠い場所にある」と言われた方が、太陽の周りを回る配置が、頭の中にすっと浮かんでこないでしょうか。

天文単位を使うことで、私たちは巨大な太陽系の地図を、手のひらサイズに縮小して理解することができるのです。

太陽系
Image Credit: NASA

天文単位で広がる宇宙の見え方

「天文単位」とは、決して難しい専門用語ではありません。それは、私たちが住む地球と太陽のつながりを基準にして、宇宙の奥行きを感じるための「見えない定規」です。

今夜、もし夜空に明るく輝く木星を見つけたら、少しだけ想像してみてください。 あの光は、私たちが昼間に見ている太陽と地球の距離の、「5倍」も遠い暗闇のなかから届いているのだと。

ただの平らな光の点だった星空が、確かな距離を持った立体的な空間として感じられるはずです。

参考文献

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次