レグルスとは?|しし座の1等星が青白く輝く理由と、自転限界ギリギリの星の正体

春の夜、南の空にひときわ明るく白っぽい光を放つ星があります。しし座のα星「レグルス」です。

一等星のなかでも際立って青白く見えるこの星は、なぜそんな色をしているのでしょうか。そして、ただ明るいだけでなく、夜空を見上げるだけでは到底わからない「ある秘密」を内側に抱えています。


目次

レグルスとは?|しし座の1等星

レグルスは地球からおよそ79光年の距離にある恒星です。しし座のα星として星座の中で最も明るく、全天の一等星の中でも、おとめ座のスピカや冬のリゲルに並ぶ青白い光を持ちます。

名前の由来はラテン語で「小さな王」。古代から「王の星」として知られ、黄道——太陽・月・惑星が空を移動するルート——にもっとも近い一等星として、天文観測の目印にも使われてきました。

なぜ青白く見えるのか?|色は温度計

星の色には理由があります。星は「何色に見えるか」で、おおよその表面温度がわかります。「温度が高い星ほど青白く、温度が低い星ほど赤く見える」という自然の法則です。

ガスバーナーの炎がキャンドルより青いのと同じ原理で、高温の物体は青い光を多く放ちます。星の場合も同じで、表面温度が低い星(3000〜4000度ほど)は赤く、温度が高い星(1万度以上)は青白く輝きます。

レグルスの表面温度はおよそ1万2000度。太陽の表面温度が約6000度なので、その2倍に達します。これが、レグルスが夜空で青白く見える理由です。


レグルスの分類|青白い主系列星

温度が高く青白い星を「B型星」と呼びます。レグルスはそのなかでもB7型、つまりやや温度が高めの主系列星に分類されます。

主系列星とは、中心部で水素の核融合を安定して続けている、星の「働き盛り」の時期のことです。太陽も主系列星ですが、レグルスはより重く(太陽の約3.4倍)、より高温で、より明るく輝きます。質量が大きい星ほど核融合が活発になり、表面温度が上がって青白くなるのです。


「自転限界ギリギリ」の星

ここからが、レグルスを特別な星にしている話です。

レグルスは、猛烈な速度で自転しています。その自転周期は約16時間。太陽が1回転するのに約1ヶ月かかるのと比べると、25倍以上の速さで回り続けています。

この速度は、ただ「速い」というだけではありません。星が高速で自転すると、遠心力によって赤道付近のガスが外側に引っ張られます。ちょうどピザ生地を手で回すと生地が外側に広がるように、レグルスの赤道方向は重力に逆らって膨らんでいます。

観測によると、レグルスの赤道半径は極の半径より約32%も大きくなっています。つまり、球体ではなく、上下が押しつぶされたような扁平な形をしているのです。

さらに重要な数字があります。レグルスの自転速度は「臨界速度」——これ以上速く回ると遠心力が重力を上回って星がバラバラになる限界——の約86%に達しています。あと少し速ければ、赤道付近のガスが宇宙空間へ放出され始めるほどの速度です。

レグルスがこれほど高速で自転している理由は、まだ完全には解明されていません。有力な説のひとつは、かつて近くにあった伴星からガスを受け取ったことで、自転が加速したというものです。現在のレグルスにも伴星がありますが、この高速自転は過去の星同士の相互作用の名残と考えられています。


扁平化が引き起こすもう一つの現象

高速自転による扁平化は、星の表面にも変化をもたらします。

遠心力で膨らんだ赤道付近は、極付近と比べて重力が弱くなります。重力が弱い部分ほど内部から運ばれるエネルギーが少なくなるため、温度も低くなります。これを「重力暗化」と呼びます。レグルスの場合、赤道付近の温度は極付近より低くなっており、赤道方向は暗く、極方向は明るく見えます。

つまり、私たちが見ているレグルスの「青白い光」は、平均的な温度から計算されたものであり、観測する角度によって、見かけの明るさや推定される表面温度がわずかに変化します。


今夜、空で見てみると

春から初夏の夜(3〜6月ごろ)、南の空の高い位置に見えるしし座の「裏返しの?マーク(大鎌)」を探してみてください。その「?」の下端にあたる、ひときわ明るく青白い点がレグルスです。

夜空でその光を見るとき、その星が——球体から大きく扁平に歪んだ形で、崩壊寸前の速さで自転しながら——青白い光を1万2000度の表面から放ち続けていると知れば、「ただの明るい星」とはまた違う見え方になるかもしれません。


まとめ

レグルスが青白く見えるのは、表面温度が約1万2000度という高温の星だからです。同じ理由で、温度の高い星は青白く、低い星は赤く見えます。

そして夜空でその光を放っているのは、球体ではなく「扁平に変形した星」です。自転速度が臨界速度の86%に達するほど高速で、赤道半径が極半径より32%も大きく膨らんでいます。

色で温度を読み、形を想像する。夜空の星の見方が、今夜から少し変わるはずです。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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