しし座の神話と見どころ|黄道に座る王の心臓「レグルス」

春の夜、南の空を見上げると、裏返しの「?」のような星並びが目に入ります。これがしし座の目印です。星占いで知られる星座のひとつですが、その背後には、ただ「強い」だけではない、ちょっと奇妙な神話と、黄道の上に鎮座する特別な星の話があります。

しし座

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神話|武器が通じない相手に、英雄はどう勝ったか

しし座のモデルは、ギリシャ神話に登場する「ネメアのライオン」です。

このライオンは、ただ凶暴なだけではありませんでした。矢は弾かれ、剣は折れる。英雄ヘラクレスが放ったあらゆる武器は、そのライオンの皮の前に通用しませんでした。

手詰まりになったヘラクレスが選んだ方法は、素手による格闘でした。洞窟に追い詰めたライオンを力でねじ伏せ、ついに仕留めたと伝えられています。

その後、このライオンは夜空に上げられ、しし座になったとされています。武器を跳ね返す「毛皮」は、ヘラクレスの武勇の証としても語り継がれました。


しし座の見つけ方|裏返しの「?」を探す

夜空でしし座を探すときは、南の空に「裏返しの?マーク」を探してください。これは「ししの大鎌(シックル)」と呼ばれ、ライオンの頭から胸のラインを表しています。

その「?」の下の点にあたるのが、しし座で最も明るいα星「レグルス」です。後ろ足の方向には2等星「デネボラ(獅子の尾)」があり、春の大三角の一角も担っています。

春の夜(3〜5月ごろ)、南の空を見上げると見つけやすい星座です。


星の科学|黄道のすぐ近くに位置する代表的な1等星

レグルスという名前は、ラテン語で「小さな王」を意味します。古くから「王の星」「獅子の心臓(コル・レオニス)」として知られてきましたが、その呼ばれ方には天文学的な理由があります。

太陽・月・惑星はすべて、天球上の決まった通り道(黄道)を移動します。黄道上にある1等星はいくつかありますが、黄道にもっとも近い位置にある1等星がレグルスです。かつての天文学者たちは、惑星たちがレグルスの脇を通過するたびに、その動きを記録しました。「王の通り道の番人」という位置づけは、単なる神話の延長ではなく、観測上の事実にもとづいていました。

さらに詳しく調べると、レグルスは非常に高速で自転していることがわかっています。太陽が約1ヶ月かけて1回転するところを、レグルスはたった16時間で回り切ります。その影響で、遠心力によって赤道付近が外側に膨らみ、球体ではなく扁平な形になっています。

「王の星」として夜空の一等地に座りながら、内部では破裂寸前の速度で回り続けている。その星が青白く輝いているのは、表面温度が高い証拠です。温度が高い星ほど、光は赤ではなく青白くなります。


しし座は、春の夜空でもっとも見つけやすい星座のひとつです。裏返しの「?」マークを南の空に見つけたら、その下で青白く光るのがレグルス。黄道の番人が、今夜も定位置に座っています。

参考文献

  • Star Tales|Leo
  • McAlister, H. A.; ten Brummelaar, T. A.; Gies; Huang; Bagnuolo, Jr.; Shure; Sturmann; Sturmann et al. (2005). “First Results from the CHARA Array. I. An Interferometric and Spectroscopic Study of the Fast Rotator Alpha Leonis (Regulus)”. The Astrophysical Journal 628: 439-452.
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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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