6月に入り、雨の多い季節がやってきました。
分厚い雲に覆われる夜が続くと、つい空を見上げることを忘れてしまいがちです。
しかし、梅雨の晴れ間にふと空を見上げると、そこにはすでに夏の主役たちが昇っています。
夜20時ごろ、東の空。
そこには、肉眼だけで見つけられる大きな三角形――「夏の大三角」が広がっています。
6月の夜空に何が見えるか|夏の大三角

夜20時から21時ごろ、東の空を見上げると、ひときわ明るく輝く3つの星が見つかります。 「こと座のベガ」「わし座のアルタイル」、そして「はくちょう座のデネブ」です。この3つの星を線で結んでできる大きな三角形が、「夏の大三角」です。
七夕の伝説で知られる「織姫(ベガ)」と「彦星(アルタイル)」が含まれているため、名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。プラネタリウムや図鑑の中だけの存在に思えるかもしれませんが、実は、私たちが暮らす街の空にも、この巨大な三角形は毎晩しっかりと描かれています。
なぜ街中でも見えるのか|1等星の明るさ
「私の住んでいる場所は明るいから、星なんて見えない」と思うかもしれません。 確かに、暗い星々は街灯やネオンの光にかき消されてしまいます。しかし、夏の大三角を作る3つの星はすべて「1等星」と呼ばれる、全天でもトップクラスの明るさを持つ星たちです。
とくに織姫星であるベガは、夏の夜空で最も明るい恒星です。地球から数十光年という途方もない距離を旅してきた光ですが、その強烈な輝きは、6月の湿った空気や街の明かりをも軽々と貫いて私たちの目に届きます。だからこそ、初心者でも「絶対に」見つけることができるのです。
夏の大三角の見つけ方|3ステップで確実に
観測に望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。むしろ、空全体を広く見渡せる「肉眼」こそが最高の道具です。以下の手順で探してみましょう。
- 東の空を見上げる 夜20時〜21時ごろ、東の方角を向いて、少し首が痛くなるくらい(見上げる角度40〜50度)高い位置を探します。
- 一番明るい白い星(ベガ)を見つける 東の空で一番明るく、青白くギラギラと輝いている星が見つかれば、それがベガ(織姫)です。これが三角形の頂点になります。
- 右下と左下を探す ベガを見つけたら、そこから「右下」へ視線を移すと、少し控えめに光るアルタイル(彦星)があります。次にベガから「左下」を見ると、デネブがあります。
この3つの星を頭の中で繋ぐだけで、夜空に大きな三角形が浮かび上がってきます。
観察時の注意点|安全・服装・暗順応
観測の際は、周囲に危険な段差などがないか、まずは明るいうちに足元を確認しておきましょう。また、6月とはいえ夜は冷え込む日もありますし、蚊などの虫も出始めます。薄手の長袖を羽織ることをおすすめします。
そして、星を見るための最も大切な作法は「目を暗闇に慣らすこと(暗順応)」です。 以前の記事でもお話ししましたが、人間の目が夜空の光をしっかり捉えられるようになるには、15分ほど時間がかかります。ベランダに出たら、スマートフォンの画面を見るのはぐっと我慢して、ゆっくりと東の空を眺め続けてみてください。最初は見えなかった星が、少しずつ浮かび上がってくるはずです。

観測の際は、周囲の安全を確認することに加えて、次の点にも注意しましょう。
- 雲が多い日は見えにくい(梅雨時期は特に)
- 建物に遮られない開けた方向を選ぶ
- 月明かりが強い日はやや見えづらい
次の楽しみ方|天の川を「構造」で感じる
無事に夏の大三角を見つけることができたら、次は少しだけ想像力を働かせてみましょう。
ベガ(織姫)とアルタイル(彦星)の間には、目には見えなくても「天の川」が流れています。そして、もう一つの星デネブ(はくちょう座の尻尾)は、その天の川のど真ん中を、川の流れに沿って飛ぶように位置しています。 街明かりで天の川の淡い光は見えなくても、「この2つの星の間には、巨大な銀河の渦の断面が広がっているんだ」と構造を知ることで、ただの点の集まりが、奥行きを持った景色へと変わります。
物語と構造を知った夜空は、昨日とは少し違って見えるはずです。 今夜、雲の切れ間から星が覗いたら、ぜひ窓を開けてみてください。
5月の星空情報、7月の星空情報も参考になります。


参考文献
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