惑星と恒星の見分け方|なぜ惑星は瞬かない?肉眼でわかる観察法

夜、ふとベランダに出て、夜空を見上げることがあるでしょうか。

暗い空にたくさんの星が輝いていますが、それらの星をじっと見つめていると、ある「違い」に気づくはずです。激しくチカチカと「またたく星」がある一方で、まるで街灯のように、じっと姿勢を崩さずに力強く光り続けている星があります。

星が瞬く現象は、天文学では「シンチレーション」と呼ばれます。

この光り方の違いこそが、はるか彼方の「恒星」と、地球と同じ太陽系の仲間である「惑星」を見分ける最大のヒントです。

今回は、特別な望遠鏡も専門知識もいりません。今夜すぐにベランダから肉眼で試せる、星たちの見分け方とその裏にある仕組みをお話しします。

目次

夜空に混ざる「恒星」と「惑星」

星空
Image Credit: P. Horálek/ESO

私たちは夜空の星をすべて同じ「星」として見てしまいがちですが、そこにはまったく異なる2つの世界が混ざり合っています。

1つは「恒星」です。自分自身が太陽のように燃え盛っているガス天体で、星座を作っている星のほとんどがこれに当たります。 もう1つは「惑星」です。地球と同じように太陽の周りを回っている天体で、自分では光らず、太陽の光を鏡のように反射して輝いています。

肉眼で見える惑星は、主に金星・火星・木星・土星の4つです。これらは、無数にある恒星の中に、ぽつんと紛れ込んでいます。一見すると見分けるのが難しそうですが、実は光が届くまでの「構造」を知ると、誰でも簡単に見つけ出すことができます。

なぜ恒星は瞬き、惑星は瞬かないのか?

2つの星を見分ける決定的な鍵は、「星が瞬く(またたく)かどうか」です。

  • 恒星:チカチカと激しく瞬く
  • 惑星:比較的安定して光る

なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか。その理由は、地球を包む「大気(空気)の揺らぎ」と、星までの「距離」にあります。

恒星が瞬く理由|遠すぎる「点」の光

恒星は、地球から気が遠くなるほど遠い場所にあります。最も近い恒星でも約4光年(光の速さで約4年もかかる距離)離れているため、どんなに巨大な星であっても、地球から見ると完全に「限界まで小さな1つの点」としてしか光が届きません。

地球の周りには空気の層があり、上空では常に風が吹き、温度の差によって空気がユラユラと揺れています。はるか彼方から届いた恒星の細い「点の光」は、この大気の揺らぎにぶつかると、簡単に進む方向が曲げられてしまいます。光が届いたり、一瞬外れたり。これが、私たちの目に「チカチカと瞬いている」ように映る原因です。

惑星が瞬きにくい理由|広がりを持った光

一方で、惑星は地球のすぐ近く(光の速さで数分から数時間の間近)にあります。そのため、肉眼では点に見えても、物理的には「わずかな広がりをもった面」として光が届いています。

惑星から届く光は光の束なので、大気の揺らぎによって一部分の光が曲げられても、別の部分の光が私たちの目に届き続けます。お互いの光が揺らぎを打ち消し合うため、全体としては瞬くことなく、いつでも「じっと力強く」光って見えるのです。

肉眼でできる惑星の見分け方

それでは、実際にベランダに出て惑星を探してみましょう。手順はとてもシンプルです。

まずは「瞬き」を観察する

夜空を見上げたら、気になる星を1つ決めて、3秒間じっと見つめてみてください。 もしその星が、周囲の小さな星たちと違って「全くピクリとも揺らがずに、電球のように灯っている」と感じたら、それが惑星である可能性が非常に高いです。

明るさと色を確認する

惑星は地球に近いため、恒星に比べて非常に明るく見えるという特徴があります。 特に木星や金星(宵の明星・明けの明星)は、夜空のどの恒星よりも圧倒的に明るく、都市部の明るい空でも白や黄色っぽく鋭く輝きます。また、火星であれば、じっと静かに「赤く」怪しく光っているため、色だけでも簡単に見つけることができます。

月や太陽の通り道を探す

太陽系の惑星たちは、ほぼ同じ平らな円盤の上を回っています。そのため、地球から見ると、惑星は必ず「太陽や月が通るルート(黄道)」のすぐ近くに現れます。 「いつも月が通るあたりに、やけに明るく、じっと光っている星があるな」と思ったら、それが惑星の目印です。北極星の近くのような、北の空の高い位置に現れることはありません。

ベランダ観測で気をつけたいこと

ベランダでの観測を成功させるために、2つだけ大切なルールがあります。

1つ目は、「部屋の明かりを消し、スマホを裏返すこと」です。人間の目は、暗闇に慣れるまでに少し時間がかかります。スマートフォンの強い白い光を1秒でも見てしまうと、目が夜空仕様からリセットされてしまい、星の輝きや瞬きが見えづらくなってしまいます。

2つ目は、「安全への配慮」です。星を見上げるときは、ベランダの手すりから身を乗り出しすぎないよう注意してください。椅子に深く腰掛けたり、壁に背中を預けたりして、リラックスした姿勢で視界を広く保つのが、小さな光の変化に気づくコツです。

今夜、瞬かない星を探してみよう

もし夜空の中に「じっと動かず、力強く光る星」を見つけたら、それはあなた自身の目で、太陽系の構造をリアルタイムに捉えた瞬間です。

その星が、今夜来ているのが木星なのか、それとも火星なのか。気になったら、部屋に戻ったあとにスマートフォンの一夜限りの星座早見アプリなどで、答え合わせをしてみてください。「あのじっと光っていたのは、やっぱり木星だったんだ」と分かると、次に見上げるときから、その星が全く違う存在に見えてくるはずです。

教科書の中にある太陽系の図が、今まさに、あなたの頭上の空に広がっています。

今夜、勉強の手を少しだけ止めて、ベランダの窓を開けてみませんか。ほんの3分間、またたかない光を探すだけで、あなたの見上げる夜空の視点は、昨日よりも確実に一段高くなっているはずです。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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