星はなぜ光るの?|夜空を照らす「核融合」のエネルギー

夜空に輝く星を見ていると、一つの疑問が浮かびます。

あの光は、いったい何を燃料にしているのでしょうか。太陽は今この瞬間も、地球上の全人類が使うエネルギーの数十億倍もの光と熱を宇宙に放ち続けています。しかも、それが46億年も続いているのです。

焚き火や石油が燃えるのとは、明らかに何かが違います。同じ「燃焼」なら、太陽ほどの大きさがあっても、せいぜい数千年で燃え尽きてしまう計算になります。

では、星を何十億年も輝かせている本当のエネルギー源は何なのか。その答えが「核融合」です。

太陽を断面カット表示したイラスト。
Image Credit: NASA/Jenny Mottar

目次

核融合とは何か

まず、核融合を一言で定義しておきましょう。

核融合:軽い原子核が二つ以上くっついて、別の重い原子核に変わる反応のこと。この過程でエネルギーが放出される。

「核」というのは、原子の中心にある「原子核」のことです。ふだん私たちがイメージする「燃焼」は、原子どうしが結びつく化学反応です。核融合はそれとは根本的に違って、原子の中心そのものが変化する反応です。

星の中では主に「水素」の原子核が使われます。水素は宇宙でもっとも多く存在する元素で、星の材料のほとんどを占めています。この水素の原子核が、極端な高温・高圧の環境のもとで合体し、「ヘリウム」という別の原子核に変わります。それが核融合反応です。

星は燃えているわけではない

ろうそくや焚き火は酸素との化学反応で燃えています。しかし宇宙空間には燃焼を維持するための酸素はほとんど存在しません。星が輝くのは燃焼ではなく、中心部で起きている核融合によるものです。


なぜ「くっつく」だけでエネルギーが生まれるのか

ここに、核融合の不思議があります。

水素4つがくっついてヘリウム1つになるとき、元の水素4つ分の合計の質量と、できあがったヘリウム1つの質量を正確に比べると、わずかにヘリウムの方が軽くなっています。「消えた」質量は、どこへいったのでしょうか。

消えたように見える質量は、エネルギーへと変換されています。

質量とエネルギーは、条件によって互いに変換できます。ごくわずかな質量が消えた分、莫大なエネルギーが生まれます。太陽が1秒間に変換している質量は約400万トン。その「消えた質量」がすべてエネルギーとなって、光や熱として宇宙に放出されています。

これが、核融合が「燃焼」とまったく異なる理由です。燃焼は原子の「組み合わせを変える」だけで、質量自体は変わりません。核融合は、質量そのものをエネルギーに変えてしまいます。だから、はるかに大きなエネルギーが得られるのです。


星の中心部では、なぜ核融合が起きるのか

通常の状態では、原子核はプラスの電荷を持っているため、近づくと反発しあいます。水素の原子核を無理やり合体させるには、この反発を超えるだけの「押し付ける力」が必要です。

その力を生み出しているのが、星の「重力」です。

星は非常に大きな質量を持つガスのかたまりです。自身の重さで中心に向かって引き合い、中心部には信じがたいほどの高温・高圧の環境が作られます。太陽の中心部の温度は約1500万度、圧力は地球上の2400億倍にもなると考えられています。この極限的な環境があって初めて、水素の原子核は反発を乗り越えて合体できるのです。


星の「バランス」を支えるもの

核融合が起きると、内側から外側へ向かう圧力(熱による膨張しようとする力)が生まれます。一方で、星の重力は「外側から内側へ向かって引き込もうとする力」として常に働いています。

この二つの力が釣り合っているとき、星は潰れることも膨張することもなく、安定した丸い形を保ちます。これが、夜空の星が何十億年も同じ大きさで輝き続けていられる理由です。

核融合の勢いが落ちれば重力が勝って潰れ始め、勢いが強くなれば膨張して表面が冷える。この繰り返しの中で自然と均衡が保たれる、精巧な「自動調節のしくみ」が星の中に備わっているのです。この状態を「静水圧平衡」と呼びます。

このバランスが崩れると、星は「赤色巨星」へと膨らんだり、「超新星爆発」を引き起こしたりと、劇的な変化を迎えることになります。


太陽はいつまで核融合を続けられるか

太陽は今この瞬間も、中心部で水素をヘリウムに変え続けています。その燃料となる水素の残量から計算すると、太陽はあと約50億年は現在の状態を保ち続けると考えられています。

現在の太陽の年齢が約46億歳ですから、今はちょうど折り返し地点にいる計算です。

核融合が止まるとき、太陽は外側に大きく膨らみ、赤色巨星へと変化していきます。しかしそれは、気の遠くなるほど先の話です。


まとめ|夜空の光の正体

この記事で見てきたことをまとめます。

星が輝く理由は「燃焼」ではなく「核融合」です。星の中心部では、水素の原子核が高温・高圧のもとで合体してヘリウムになり、そのとき消えたわずかな質量が莫大なエネルギーに変わります。この反応による「膨張しようとする力」と、星自身の「重力」が釣り合うことで、星は安定した形で長い時間を輝き続けられます。

今夜、夜空を見上げたとき、あの光のひとつひとつは、遥か彼方の星の中心で今この瞬間も起きている核融合の産物です。何年も、何十年も、あるいは何千年も前に放たれたエネルギーが宇宙を渡り、私たちの目に届いている。そう考えると、夜空の静けさが少し違って見えてきます。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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