白色矮星とは?|地球サイズに太陽の質量が詰まった星の最期

晴れた夜、夜空を見上げると、無数の星たちが青白く、あるいは赤く、力強く輝いています。まるで永遠にそこにあり続けるかのように見える星たちですが、私たち人間と同じように、星にも誕生があり、そして「終わり」があります。

では、激しく燃え盛る星たちは、命が尽きたあとに一体どのような姿になるのでしょうか。

実は、夜空に輝く星の大部分は、大爆発を起こして派手に散るわけではありません。静かに、しかし劇的な変化を経て、ある不思議な天体へと姿を変えます。それが、今回ご紹介する「白色矮星」です。

白色矮星
Image credit: NASA/CXC/M.Weiss
目次

白色矮星とは?|燃え尽きた星の「芯」

まず、この聞き慣れない言葉の定義から整理していきましょう。

白色矮星とは、太陽のような比較的軽い恒星が寿命の終わりに外層を放出した後に残る高密度な天体です。

星が夜空で輝いているのは、その中心部で「核融合」という現象が起きているからです。

太陽のような星は、この核融合のエネルギーのおかげで、自らの重さで潰れることなく、丸い形を保っていられます。しかし、数十億年という長い時間が経ち、中心にある燃料を使い果たすと、星は核融合を止めてしまいます。

燃料がなくなると、星を支えていたエネルギーが消え、外側のガスは宇宙空間へと静かに広がっていきます。そして中心部だけが、まるで燃えかすの「芯」のようにポツンと残されるのです。この残された星の芯こそが、白色矮星の正体です。

なぜ地球サイズなのに太陽並みに重いのか?

この白色矮星は、私たちの常識を遥かに超えた、非常に奇妙な性質を持っています。それは地球ほどの大きさに、太陽の半分〜ほぼ同じ程度の質量が詰め込まれている、ということです。

ここで関係してくるのが、誰もが知る宇宙の力、「重力」です。

核融合という内側から押し返すエネルギーを失った星の芯は、自らの強い重力によって限界までギューギューに押し潰されます。その結果、太陽ほどの重さの物質が、地球ほどの小さな大きさにまで凝縮されてしまうのです。

もしも白色矮星の物質を、角砂糖1個分だけ地球に持ってきたとしたら、その重さはなんと「約1トン(乗用車1台分)」にも達します。目に見えないほどの小さな空間に、信じられないほどの重さが閉じ込められている構造なのです。

なぜブラックホールにならないのか?

これほど凄まじい重さで押し潰されているのなら、「そのままさらに潰れて、光さえも抜け出せないブラックホールになってしまうのではないか?」という疑問が湧いてきますよね。

しかし、白色矮星はブラックホールにはならず、地球のサイズでピタリと進化を止めます。そこには、ミクロなミクロな「宇宙のルール」が関係しています。

物質をどんどん細かくしていくと、最後は「電子」などの小さな粒に行き着きます。この電子たちには、「同じ場所に、2つの粒が同時に存在することはできない」という絶対的な物理のルールがあるのです。

星の芯が重力によって極限まで押し潰されると、中の電子たちは文字通り「これ以上は隙間がない」という限界まで大混雑します。すると電子たちは、重力に対抗して「これ以上は絶対に近づかないでくれ!」と外側へ向けて強烈に突っ張り始めます。

この電子たちが作り出す強力な圧力が、星の自重を支えているため、白色矮星はブラックホールにならずにその姿を保っていられるのです。

最後はダイヤモンドになる?|結晶化する星の終わり

地球サイズに固まった白色矮星ですが、実は「最終的には内部が巨大なダイヤモンドのような状態になる」と言われています。ロマンチックな噂のようですが、これは最先端の天文学でも支持されている、れっきとした事実です。

ダイヤモンドの正体は、みなさんもよく知る「炭素」という物質です。炭素にものすごい高熱と圧力が加わり、綺麗に規則正しく並ぶことでダイヤモンドへと変化します。

実は、太陽のような星が燃え尽きて白色矮星になるとき、その中身のほとんどは「炭素」と「酸素」で満たされています。つまり、白色矮星は生まれた瞬間から、ダイヤモンドの材料だけでできた星なのです。

生まれたての白色矮星はまだ熱々ですが、何百億年もの時間をかけてゆっくりと冷えていくと、中の炭素たちがギューギューに押し潰されたまま、綺麗に規則正しく固まり始めます。これこそが、星の内部で起きる「ダイヤモンド化(結晶化)」です。

宇宙には、すでに中心部がダイヤモンドになり始めている白色矮星も実際に見つかっています。地球から約50光年離れた白色矮星「BPM 37093」は、その内部が結晶化していると考えられており、「宇宙最大のダイヤモンド」と呼ばれることがあります。星の終わりは、ただ光を失うだけでなく、宇宙で一番硬く美しいきらめきを秘めた姿へと変わっていくのです。

なぜ燃料がないのに光っているのか?

自らエネルギーを生み出さなくなった白色矮星ですが、実はその名前の通り、白く、あるいは青白く美しく輝いています。燃料がないのに、なぜ光ることができるのでしょうか。

ここで、冬の夜に使う「湯たんぽ」を想像してみてください。

湯たんぽは、一度お湯を入れて布団に入れてしまえば、その後はお湯を追加しなくても一晩中温かいですよね。湯たんぽ自体が新しく熱を作っているわけではなく、最初に蓄えた「お湯の余熱」をゆっくりと周囲に放ち続けているからです。

白色矮星もこれとまったく同じ仕組みです。かつて星だった頃に、中心部で激しい核融合を行っていたときの凄まじい熱が、いまだに冷めずに残っています。白色矮星は、新しく熱を作ることはできません。ただ、過去に蓄えた莫大な熱エネルギーを、何百億年もの時間をかけて、宇宙空間へ向けてじわじわと放熱しているのです。

太陽も未来には白色矮星になる

私たちの地球を毎日照らしている太陽も、今から約50億年後には燃料を使い果たし、最終的にはひとつの白色矮星になると考えられています。太陽は大爆発をして消えてなくなるのではなく、地球ほどの大きさに縮み、静かに冷えていく湯たんぽのようになってその一生を終えるのです。

遠い未来の話に聞こえるかもしれませんが、冬の星座であるおおいぬ座の1等星「シリウス」のすぐそばにも、目には見えないほど小さな白色矮星が実在し、今も余熱で輝いています。

今夜、ベランダに出て夜空の星たちを眺めるときは、ただ綺麗だなと思うだけでなく、その中に「かつて激しく燃え盛り、今は静かに余熱を放っている星の芯」があるかもしれないと、想像してみてください。そう思うと、いつもの夜空が、星たちの長い一生を見守る壮大な舞台のように見えてきませんか。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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