【しし座】一等星レグルス。「王の心臓」と呼ばれる星が、青白く輝く理由

夜空にはたくさんの星があり、それらを結んで想像する星座も多くの種類があります。そのなかでも一般に広く知られているのは、星占いの12星座ではないでしょうか。そんな12星座のうち、しし座について解説していきます。

しし座
目次

神話:英雄さえも通さない「最強の毛皮」

しし座のモデルは、ギリシャ神話に登場する「ネメアの森の人食いライオン」です。 またしても英雄ヘラクレスの登場ですが、今回の敵は、かに座のカルキノスのようにあっけなくはありません。

このライオン、ただ凶暴なだけではありませんでした。 最大の特徴は「決して傷つかない毛皮」を持っていたこと。 ヘラクレスが放った矢は弾かれ、剣は折れ、棍棒で殴ってもビクともしません。

武器が通じないと悟ったヘラクレスは、最後は素手でライオンの首を締め上げ、三日三晩にわたる死闘の末にようやく倒しました。 この強さに敬意を表し、ヘラクレスはライオンの皮を剥いで自身の鎧(マント)として身にまとうようになります。

夜空に昇ったしし座は、武器を跳ね返すほどの「強靭な精神力」と「誇り」のシンボル。 どんな困難にも屈しないその姿は、まさに百獣の王そのものです。


注目の星:王の心臓「レグルス」

しし座を探すときは、空に裏返しの「?」マークを探してください。 これは「ししの大鎌(シックル)」と呼ばれ、ライオンの頭から胸のラインを表しています。

その「?」の下の点にあたる場所で輝くのが、しし座のα星「レグルス(Regulus)」です。 ラテン語で「小さな王」という意味を持つこの星は、古くから「王の星」「獅子の心臓(コル・レオニス)」として特別視されてきました。

なぜ、特別なのか? それは、レグルスが「王の通り道(黄道)の上に座っている、唯一の1等星」だからです。

太陽や月、惑星たちは、空の中の決まった道(黄道)を通ります。 レグルスはその道の真上にあるため、まるで太陽や惑星たちが「王様、通りますよ」と挨拶に来るのを検閲しているように見えるのです。 夜空広しといえど、これほど威厳のある場所に座っている1等星はレグルスだけです。


星の科学:回転しすぎた「ラグビーボール」

さて、ここで王様の「意外な秘密」をバラしてしまいましょう。 望遠鏡を使っても点にしか見えませんが、最新の天文学でレグルスの形を調べると、驚きの事実が判明しました。

なんとレグルスは、丸い形ではなく、つぶれた「ラグビーボール(卵型)」のような形をしているのです。

理由は「猛烈な回転速度」。 太陽が約1ヶ月かけて自転するところを、レグルスはたったの16時間で一回転しています。 あまりにも高速で回転しているため、遠心力で赤道付近が横にビヨーンと伸びてしまっているのです。

もし、あと少し(10%ほど)回転が速かったら、レグルスは遠心力に耐えきれずにバラバラに吹き飛んでいたと言われています。 破裂寸前のギリギリの状態で、青白く激しく燃え続ける。 その姿は、常に全力で走り続ける「高潔な野心家」のようにも見えますね。高温で燃える星ほど、光は赤ではなく青白くなります。


しし座は、春の夜空を見上げればすぐに見つかります。 南の空高くに輝く「?」マークと、その下で青白く光るレグルス。 そして後ろ足の方には、「デネボラ(獅子の尾)」という2等星があり、春の大三角の一角を担っています。

黄金の毛皮を持ちながら、その心臓はクールな青白色。 そして誰よりも速く回転し続ける、情熱的な王様。今夜はぜひ、レグルスを見上げてパワーをもらってください。

参考文献

  • Star Tales|Leo
  • McAlister, H. A.; ten Brummelaar, T. A.; Gies; Huang; Bagnuolo, Jr.; Shure; Sturmann; Sturmann et al. (2005). “First Results from the CHARA Array. I. An Interferometric and Spectroscopic Study of the Fast Rotator Alpha Leonis (Regulus)”. The Astrophysical Journal 628: 439-452.
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次