うお座の神話とは?|2匹の魚を結ぶリボンと「春分点」がある星座

夜空には、神々や生き物の姿をかたどった星座がたくさん描かれています。そのなかでも一般に広く知られているのは、星占いの12星座ではないでしょうか。今回は、その12星座の最後を飾る「うお座」について、神話とその見どころ、そして天文学とのつながりを解説していきます。

うお座
目次

神話:はぐれないための「絆のリボン」

うお座の神話は、「やぎ座」と同じ事件から生まれました。

神々がナイル川のほとりで宴を開いていたとき、怪物テュポンが突然現れ、その場は大混乱になります。慌てた牧神パーンは、とっさに「半ヤギ半魚」の姿に変身して逃げ出しました。

その場には、愛と美の女神アフロディーテと、息子のエロスもいました。2人も魚に変身して川へ飛び込みますが、アフロディーテは激しい流れの中で息子と離れてしまうことを心配します。そこで、自分とエロスの体を一本のリボンで結び、川に飛び込みました。

このとき2人を結んでいたリボンが、夜空に描かれている「うお座」の姿だと言われています。


見どころ:2匹の魚と結び目「アルレシャ」

うお座は秋から冬にかけて見える星座ですが、明るい星が少なく、形をとらえるのは簡単ではありません。目印になるのは、2匹の魚の位置関係です。

  • 西の魚:みなみのうお座(1等星フォーマルハウト)の方向へ伸びる魚
  • 北の魚:アンドロメダ座の方向へ伸びる魚

この2匹が、それぞれの尾から伸びるリボンで結ばれ、夜空に大きな「V」または「Y」の字を描いています。夜空ではかなり大きく広がっているため、慣れないうちは少し分かりにくいかもしれません。

その結び目にあるのが、アルレシャ(うお座α星)です。アルレシャはアラビア語で「リボンの結び目」を意味する名前で、実際に2つの星が近距離で回り合う連星であることが分かっています。明るさは4等程度とやや控えめですが、神話と星の並びが一致している、うお座ならではの見どころです。


天文学との接続:12番目の星座が「ゼロ地点」である理由

実は、この「結び目」を持つ星座には、天文学上も重要な「つなぎ目」の役割があります。

うお座は黄道十二星座の最後(12番目)にあたりますが、天文学の世界では、ここが「始まりの地点」としての役割を持っています。

その鍵になるのが春分点です。春分点とは、太陽の通り道(黄道)と、地球の赤道を天に延長した線(天の赤道)が交わる点のこと。天文学では、星の位置を表す座標(赤経・赤緯)の基準点(赤経0時)として使われています。

かつてこの春分点は、おひつじ座の領域にありました。しかし地球の地軸はゆっくりと向きを変える「歳差運動」をしており、約2,000年のあいだに春分点はおひつじ座から隣のうお座へと移動しています。

つまり、星占いでは「最後」のうお座が、実際の星空の座標では「現在の基準点」を担っているのです。物語の上では最後に位置する星座が、宇宙の住所では現在の基準になっている。これが、うお座が持つもう一つの顔です。


まとめ

うお座は、アフロディーテとエロスが「はぐれないために結び合った」という神話を持つ星座であり、その結び目にあたるアルレシャは、実際に2つの星が結びついた連星でもあります。

そして、地軸の歳差運動によって、現在の春分点はうお座付近に位置しています。神話の上での結びつきと、天文学上の基準点。2つの意味で「つながりの星座」であることを知ると、夜空のVの字の見え方が少し変わってくるはずです。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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