星の色は何を語っているのか?|夜空の色が示す「恒星の温度」のしくみ

夜空の星を、じっくり観察したことはありますか?

都会のビルの間から見える星でも、山の上で見上げる満天の星でも、少しだけ視線を動かしながら星を見比べてみると、それぞれが全く同じ色ではないことに気づきます。白っぽく輝く星、ほんのり黄みがかった星、そして赤みを帯びた星。

実は、その「色の違い」は偶然ではありません。星の色には、ちゃんとした理由があります。そしてその理由を知ると、夜空の見え方がガラリと変わります。

100,000個の星が写り込んだ壮観な画像で、色とりどりの星が一枚に収まっています。黄白色(太陽に似た主系列星)・橙色(晩年の星)・青白色(燃料を燃やし尽くしかけた星)・白色矮星が同時に写っており、「星には様々な種類がある」という記事の内容とまさに直結します。記事の「夜空の星のほとんどが主系列星」という話の視覚的な証拠にもなります。
Image Credit: NASA, ESA and the Hubble SM4 ERO Team

目次

星はなぜ色が違うのか?|光の色と温度の関係

まず、身近な例から考えてみましょう。

鉄を熱したことを想像してみてください。最初はただ熱いだけで見た目は変わりません。しかしさらに加熱すると、やがて赤くなり、もっと高温になると橙色、そして黄色、最後は白っぽく輝きはじめます。炎でも同じことが起きます。キャンドルの炎は赤みがかったオレンジ色ですが、ガスバーナーは青白い炎を放ちます。

これは、「温度が高いほど、放つ光の色が青白くなる」という自然界の法則によるものです。

星も全く同じです。星の表面温度が低ければ赤く光り、温度が高くなるにつれてオレンジ、黄、白、そして青白くなっていきます。夜空の星の色は、その星の「表面温度の目盛り」なのです。


色から読み取れる温度の目安

星の色と表面温度には、おおむね次のような対応があります。

表面温度の目安代表的な星
赤・オレンジ約3000〜4000度さそり座のアンタレス
黄・黄白約5000〜7000度太陽、こいぬ座のプロキオン
約7500〜10000度おおいぬ座のシリウス
青白約1万〜数万度オリオン座のリゲル

たとえば、冬の夜空で特に目立つオリオン座を見てみましょう。左上で赤みを帯びて輝いているのがベテルギウス(表面温度約3500度)、右下で青白く輝いているのがリゲル(表面温度約1万2000度)です。同じ星座の中に、温度が大きく異なる二つの星が並んでいるのです。


「表面温度」とは何か?

ここで少し立ち止まって確認しておきましょう。

星は巨大なガスの球です。中心部ではものすごい高温(太陽の場合は約1500万度)の核融合反応が起きていますが、私たちが見ているのはその中心ではなく、星の「表面」に当たる部分(光球と呼ばれる層)から出てくる光です。

「表面温度」とは、この光球の温度のことです。太陽の場合は約6000度。これは中心と比べると格段に低いですが、私たちの日常感覚からすれば依然として途方もない高温です。

星の色を決めているのは、この「表面温度」です。


なぜ温度によって色が変わるのか?

温度と光の色が対応している理由は、「物体は温度に応じた波長の光を放射する」という物理法則にあります。

光にはさまざまな波長があり、波長の短い光が青、波長の長い光が赤に見えます。温度が低いと長い波長の光(赤)が多く放射され、温度が高くなると短い波長の光(青)の割合が増えてきます。

鉄を熱したときに色が変わって見えるのも、炎の色が燃料によって変わるのも、この法則が働いているからです。星の光の色もまた、全く同じ仕組みで決まっています。


星の色は「今」の温度を伝えている

ここでひとつ、大事なことがあります。

夜空で私たちが見ている星の光は、数光年から数百光年という距離を旅してきた「過去の光」です。たとえばシリウスの光は約8.6光年離れているので、今見ているのは約8.6年前に放たれた光です。

ただし、恒星の温度は数億年〜数十億年という超長期スケールで変化するものです。数年や数十年単位では、ほぼ変わりません。だから私たちが見ている星の色は、「ほぼ現在の」その星の表面温度を教えてくれていると考えてよいのです。


夜空で色の違いを見てみよう

実際に星の色を確認するには、比較的明るい星を横目で何個か見比べるのがコツです。

冬の夜空には色の違いがはっきりしている星が多く、観察に向いています。オリオン座のベテルギウス(赤みがかった色)とリゲル(青白い色)の対比は、とくにわかりやすい例です。また、冬の大三角を作るシリウス(白)・プロキオン(黄白)・ベテルギウス(赤)を見比べると、三者三様の色の違いが楽しめます。

肉眼だけでも色の違いはある程度わかりますが、双眼鏡を使うと色の差がより鮮明に見えます。


まとめ|星の色は、温度計だった

この記事で見てきたことをまとめると、こうなります。

星の色は、その星の表面温度を反映しています。赤い星は温度が低く(約3000〜4000度)、青白い星は温度が高い(約1万度以上)。これは、熱した鉄や炎の色が温度によって変わるのと同じ、自然界の普遍的な法則です。

夜空の星を見るとき、ただ「明るい」「暗い」と見るだけではなく、色にも注目してみてください。赤みがかった星は、比較的温度が低く穏やかな星かもしれません。青白く輝く星は、猛烈な高温で燃え続けている星です。

色を読み解く目が育つと、夜空は「光の点の集まり」から、それぞれ異なる個性と温度を持つ天体の集まりとして見えてきます。今夜の夜空で、ぜひ星の色を探してみてください。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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