黄道とは?|太陽が1年かけて歩く「空の道」の正体

夜空の星座は、一年中いつでも同じ場所に見えるわけではありません。

春の夜空に輝くしし座は、半年後の秋には地平線の向こうに沈んでいます。代わりに、ペガスス座やおひつじ座が夜空の主役になります。どの星座がいつ見えるのかを、古代の人々は経験から知っていました。しかし、それが「なぜ」なのかを理解するには、夜空で太陽が動くルートを知る必要があります。

その道のことを、黄道(こうどう)と呼びます。

黄道を通る惑星
Image Credit: NASA/Preston Dyches
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黄道とは?|夜空における太陽の1年間の通り道

黄道とは、地球から見たときに太陽が1年かけて通る、天球上の経路のことです。

「天球」とは、地球を中心に広がるドーム状の空間を、球(ボール)の内側だと見立てたものです。星座はその内側に貼り付いているイメージで捉えると理解しやすくなります。

太陽は毎日東から西へ空を移動しているように見えます。これは地球が1日1回自転しているためです。ところが、毎日同じ時刻に太陽の位置を記録すると、太陽は星の間を少しずつ移動していることが分かります。1年かけてすべての星座を巡り、出発点に戻ってくるのです。この一周の軌跡が、黄道です。

なぜ太陽は星の間を移動して見えるのか?

実際に大きく動いているのは、太陽ではなく地球です。

地球は太陽のまわりを1年かけて公転しています。公転とは、惑星が恒星(ここでは太陽)を中心にして周回することです。地球が少しずつ軌道を進むたびに、地球から見たときの「太陽の背後にある星座」も変わっていきます。

イメージしやすい例として、あなたが部屋の中央のランプのまわりをゆっくり歩いていると考えてみてください。ランプが「太陽」、あなたが「地球」です。歩きながらランプを見ると、ランプの背後の壁に描かれた絵(星座)が次々と変わっていくはずです。あなたが動いているのに、ランプが星の間を移動しているように感じる——これが、太陽が黄道を動いているように見える理由です。

黄道が「傾いている」理由

黄道は、天球上の赤道(天の赤道)と同じ位置にはありません。両者は約23.4度傾いています。

なぜ傾いているのかというと、地球自身の自転軸が傾いているからです。コマが斜めに回転しているとき、その先端が描く軌跡が傾くように、地球の公転軌道の面(黄道面)と自転軸の関係が傾きを生み出しています。

この「約23.4度の傾き」が、季節の変化を生み出す原因でもあります。夏には太陽が高い位置から照りつけ、冬には低い角度からしか光が当たらない。それもすべて、地球の自転軸と黄道の傾きから来ています。黄道の傾きは、気温や季節の長さにまで影響する、地球の「設計図」のひとつなのです。

黄道12星座との関係

黄道の上——つまり太陽が通過していくルート上——には、12の星座が並んでいます。おひつじ座、おうし座、ふたご座……という「黄道12星座」です。

太陽はこの12の星座を1年かけて順番に移動していきます。たとえば4月ごろの太陽はおひつじ座の方向にあります。ただし、太陽の背後にある星座は太陽の光に邪魔されて昼間は見えません。その星座が夜空で観測しやすいのは、太陽が反対側の星座の方向にある、半年後になります。

黄道12星座がいつ見やすいかは、こうした「黄道上での太陽の位置」によって決まるのです。

ここで注意しておきたいのは、黄道の起点の問題です。黄道と天球の赤道は2点で交わります。太陽が南から北へ赤道を横切る点のことを春分点と呼び、これが黄道の0度地点とされています。この春分点は現在、おひつじ座ではなくうお座付近にあります。地球の自転軸はゆっくりと向きを変えており(歳差運動)、約2,000年前に定義された星座のズレが蓄積した結果です。

黄道を夜空で辿ってみよう

黄道は、目で直接見える線ではありません。しかし、知識があれば夜空でその通り道をおおまかに追うことができます。

夜空で黄道を見つけるヒントは、惑星の並びです。水星・金星・火星・木星・土星といった惑星は、すべて黄道のすぐ近くにしか見えません。太陽系の惑星はほぼ同じ平面上(黄道面)を公転しているため、地球から見ると惑星たちは黄道に沿って一列に並んでいるように見えるのです。

晴れた夜に惑星をいくつか見つけたら、それらを繋ぐように線を引いてみてください。その線が、黄道のおおよそのラインです。

太陽が1年かけて旅をする道、黄道。それは地球の公転が天球に刻んだ「軌道の投影」であり、惑星たちの舞台でもあります。黄道を知ることは、夜空の天体がなぜそこにあるのかを読み解く、最初の一歩になるはずです。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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